利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22BA0017

利用課題名 / Title

スピントロニクス材料の評価と素子作製

利用した実施機関 / Support Institute

筑波大学 / Tsukuba Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リソグラフィ/Lithography,スパッタリング/Sputtering,スピントロニクス/ Spintronics


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

柳原 英人

所属名 / Affiliation

筑波大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

日高温志,小泉洸生

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

BA-009:パターン投影リソグラフィシステム
BA-002:スパッタリング装置
BA-024:ワイヤボンダー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

酸化物スピントロニクス実現に向けて、酸化物磁性体と同程度の格子定数をもつ導電性材料の探索が一つの課題である。一般に遷移金属酸化物は通常の金属と比べて大きな格子定数を有することから、薄膜化可能な導電性酸化物を選択することになる。スピネルフェライトは、高いキュリー温度を持ち、軟磁性から硬質磁性まで様々な物質が知られている。本研究では、スピネルフェライトと同程度の導電性遷移金属酸化物として知られているスピネル型酸化物CoV2O4(CVO)のエピタキシャル薄膜を試み、その伝導特性を調べた。

実験 / Experimental

単結晶MgO(001)基板上にCVO薄膜の成長を行った。CoとVのターゲットに対して反応性RFマグネトロンコスパッタリング法を用いて成膜を行った。基板温度は500℃とし、ArとO2の混合ガスをスパッタガスとして導入した。Coターゲットへの投入電力は一定(100 W)とし、Vターゲットへの投入電力を変化させることで最適な(高い導電性を示す)試料条件を探索した。また、酸素導入量も同様に成膜パラメータとして変化させた。成膜した薄膜試料は、高速反射式電子線回折、X線回折等を行い、その結晶構造、格子定数を決定した。組成については、He+によるラザフォード後方散乱法を用いて評価した。電気抵抗測定用にフォトリソグラフィ法により4端子素子化し、Physical Property Measurement System(カンタムデザイン社)を用いて、電気抵抗の温度依存性を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

成膜条件をパラメータとして変化させることで得られた組成及び成膜時酸素流量の異なる試料に対して、結晶構造解析、電気特性評価、磁気特性評価を行い、室温における比抵抗が最も小さくかつスピネル型結晶となった試料を探索した結果を図1に示す。成膜条件がCo 30 W、V 100 W、酸素流量 1.0 sccmのときに得られる試料であることが明らかになった。この最適条件により作製した膜は電気抵抗率がバルクよりも1桁程度高いものの広い温度範囲で導電性を示し、そのキュリー温度はバルクの報告例とほとんど一致した。今後この条件で得られるCVO(001)薄膜上にスピネルフェライト薄膜を成長させて酸化物スピントロニクスデバイスの作製を試みる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 CVO(001)薄膜における電気抵抗の温度依存性


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Atsushi Hidaka, Hiroki Koizumi, and Hideto Yanagihara, "Magnetic and electric properties of the spinel oxide CoV2O4 (001) films"(投稿中)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る