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ARIM:文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ 令和4年度「秀でた利用成果」の発表について

  文部科学省マテリアル先端リサーチインフラは、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業から継続して昨年度までの約30,000件の利用課題の中からイノベーションに繋がることが期待できるなど特に秀逸な成果を選定、令和4年度「秀でた利用成果」6件を決定しました。最優秀賞には、単結晶基板と機能性薄膜の結晶格子ミスマッチを利用した結晶格子制御により、自然界には存在しない新規物性の創出に成功した課題と、がん抗体治療の妨げとなるがん細胞不均一性を克服する新技術として、抗体薬剤複合体を腫瘍局所に集積し近赤外光線を照射することで、結合した腫瘍周辺に薬剤を放出し、同時に近赤外光線免疫療法の効果で結合した腫瘍を破砕する光応答性“Smart ADC”の開発を目的とした課題が選ばれました。

 
1.「秀でた利用成果」の概要

マテリアル先端リサーチインフラは、文部科学省の委託により、ナノテクノロジープラットフォームで培った、全国的な最先端共用設備体制と高度な技術支援提供体制に加え、リモート化・自動化・ハイスループット化された先端設備を導入し、設備共用を継続すると共に、共用に伴って創出されるマテリアルデータを、利活用しやすい構造化された形で、収集・蓄積を行っています。

毎年約3000件、昨年度までの10年間で約30,000件の利用がありますが、今回25の実施機関から優れた利用成果として提出された49件の候補から、曽根純一プログラムディレクターを主査とする11名からなる選定委員会の審査により、6件の「秀でた利用成果」を選出しました。

選定にあたっては、①ナノテクノロジープラットフォーム/マテリアル先端リサーチインフラの活用・支援が大きな効果をもたらしたもの、②イノベーションの創出にあたって大きな影響が期待できるもの、③産業界・大学・公的機関の連携により大きな成果が得られたもの、という3つの基準を設けて厳正に審査しました。

 

2. 令和4年度「秀でた利用成果」最優秀賞受賞課題
  ・東京大学:加工・デバイスプロセス横断技術領域および計測・分析横断技術領域                                            
    「静的・動的局所結晶格子制御による酸化物材料の機能創発
       原子層での傾斜格子ひずみによる空間反転対称性の破れとそれが創発するスピン・双極子共存と、創製された材料の
       広範な分野(エレクトロニクス、医療機器等)における社会実装のための企業化の成果が得られた。優れた圧電特性物
       性からバイオメディカル分野への応用が期待されているピエゾ材料(PbTiO3)がシリコン基板上に単結晶成長できる
       ことを見出した研究であり、単結晶材料がシリコン基板上に直接製膜できることは本邦の産業競争力の観点から極めて
       重要である。
 
  ・名古屋大学:物質・材料合成プロセス横断技術領域
    光応答性“Smart ADC”開発〜光バイスタンダー効果と近赤外光線免疫療法の二重の作用でがんを根治しうる
      新概念・新技術を確立〜
       二重付加体は、近赤外光線免疫療法の効果により、HER2陽性腫瘍細胞を光破砕し、同時に抗がん剤であるDM1 由来
       薬剤を腫瘍に散布した。薬剤が、抗原陰性腫瘍細胞に作用し、抗癌作用により腫瘍はアポトーシスした。その結果、腫
       瘍不均一性のモデルである混合腫瘍は根絶され、マウスモデルで完治することが確認された。本技術は、がんを根絶す
       る概念であり、使用した薬剤は各々臨床認可を受けていることから臨床応用が容易と考えられ、次世代の光治療技術に
       成りうる。
 
3. 令和4年度「秀でた利用成果」優秀賞受賞課題
  ・名古屋大学:計測・分析横断技術領域
    「異種金属添加光触媒ヘマタイトメソ結晶のSTEM分析
 
   ・京都大学:計測・分析横断技術領域
    「高エネルギー分解能EELSの半導体局所キャリア濃度評価への適用」
 
  ・東京工業大学:加工・デバイスプロセス横断技術領域
    「電子ビーム露光によるSiNxメンブレンの表と裏両面への正方形Auパッチの作製
 
   ・分子科学研究所:物質・材料合成プロセス横断技術領域
    「六方晶格子を持つ水素化物ハライドBa2H3X(X = Cl, Br, I)のヒドリド導電特性」
   
 

令和4年度「秀でた利用成果」の表彰式は、令和5年2月1日(水)13時から、nanotech 2023(会場:東京ビッグサイト)会場内の会議棟1F、102会議室にて行われます。詳細はこちらをご覧ください。

 

【お問い合わせ】
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
マテリアル先端リサーチインフラセンター 運営室内
利用成果事務局

 

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  • 【更新日】2024/07/16
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