利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NM0031

利用課題名 / Title

温度差不要環境熱発電素子に向けたナノ粒子の開発

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

微粒子,コロイド,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中村 貴宏

所属名 / Affiliation

株式会社GCEインスティテュート

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

中村貴宏,小倉周,後藤雅裕

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-504:200kV電界放出形透過電子顕微鏡(JEM-2100F2)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

我々は従来のゼーベック効果を利用した熱発電技術とは異なり,温度差を必要とせず室温付近から150℃程度までの低品位熱で温度差なしで発電する環境熱発電素子の開発に取り組んでいる.同素子は仕事関数の異なる電極基板間をナノ粒子分散体で満たしたシンプルな構成であり,これまでの研究により,電極材料の組み合わせやギャップ間隔,ナノ粒子の種類や粒径などの最適化によって素子の出力が向上することが示されている.本研究では,熱電素子の安定性ならびに特性向上を目的に,独自手法のレーザー誘起核生成法により作製したナノ粒子をバインダ材料に分散した固体分散膜の作製を試みた.

実験 / Experimental

金ならびに白金イオンを所定の割合で混合して調整した前駆体水溶液に対して,フェムト秒パルスレーザーを集光・照射することで一桁ナノメートルの金-白金合金ナノ粒子を作製した.作製した水分散ナノ粒子分散液に対して,アルカンチオールを所定の濃度で添加したヘキサン溶液を加え,一定時間激しく攪拌することで金-白金合金ナノ粒子の表面修飾を行った.この過程で表面修飾されたナノ粒子はヘキサン溶液中に抽出される.ナノ粒子ヘキサン分散液に対して,溶媒置換処理を行うことでトルエン分散液を得た.ナノ粒子トルエン分散液とバインダ樹脂のトルエン分散液を所定の割合で混合し前駆体溶液を調整した.前駆体溶液を基板上に製膜塗布して室温で乾燥することでナノ粒子固体分散膜を形成した.ナノ粒子とバインダ樹脂の混合比を制御することでナノ粒子/バインダ樹脂複合膜中のナノ粒子感覚を制御した.バインダ分散したナノ粒子固体膜の構造を透過電子顕微鏡 (TEM,JEM-2100F2) を用いて評価した.

結果と考察 / Results and Discussion

電極基板上への成膜と同条件の前駆体溶液をTEM観察用のカーボン支持膜付マイクログリッド上に滴下して作製した金-白金合金ナノ粒子/バインダ樹脂複合膜のTEM観察結果を図に示す.直径一桁ナノメートルのナノ粒子が,粒子間隔一桁ナノメートルで均一に分散されていることがわかる.金ナノ粒子の場合,観察中に粒子同士が融合し構造が変化するが,金-白金合金ナノ粒子では観察中の変化は見られず金に比べて融点の高い白金を合金化することでナノ粒子の熱安定性が向上していることが確認された.作製した金-白金合金ナノ粒子/バインダ樹脂複合膜を組み込んだ熱電デバイスは,高い動作安定性と出力特性が確認された.今後は環境熱発電デバイスの実用化を目指して,ナノ粒子の種類や組成を制御することによる環境熱発電デバイスのさらなる特性向上と,大面積プロセスの確立を目的に研究を進める. 

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図 金-白金合金ナノ粒子/バインダ樹脂複合膜のTEM観察結果


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は、文部科学省委託事業マテリアル先端リサーチインフラ課題として物質・材料研究機構の支援 (課題番号JPMXP1222NM0031) を受けて実施されました


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 中村貴宏,“レーザー誘起核生成法による新規ナノ粒子合成”日本金属学会2023年春季 (第172回) 講演大会,(東京) 令和5年3月9日【基調講演】
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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