利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.17】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22BA0043

利用課題名 / Title

内部反射HD-VSFG分光のための金属薄膜の製作

利用した実施機関 / Support Institute

筑波大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

石橋 孝章

所属名 / Affiliation

筑波大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

近藤正人,野嶋優妃,篠田亮介,成田英史,亀山拓海

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

BA-002:スパッタリング装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

我々は、固液界面に保持した脂質二重膜の系にヘテロダイン検出振動和周波発生(HD-VSFG)分光を適用することで、膜の構造や膜と生体関連分子との相互作用に関する研究を行うことを目指している。HD-VSFG分光を固液界面に適用するためには、水の赤外吸収を回避するためにプローブ光を固体基板側から入射する、内部反射配置を取る必要がある。本課題の目的は、内部反射HD-VSFG分光測定において、参照試料として使用するための金属薄膜を作製することである。

実験 / Experimental

固体基板表面に、シリカ、金、銀を組み合わせた厚さ数百nmの薄膜をスパッタ装置を用いて作製した。具体的には、図1の通り、直径20 mm、厚さ5 mmのフッ化カルシウム(CaF2)平行平面基板の平面に、シリカ薄膜(厚さ約100 nm)、銀薄膜(厚さ約200 nm)、金薄膜(厚さ約200 nm)を蒸着した。CaF2基板にシリカ薄膜のみを蒸着した試料も作製した。

結果と考察 / Results and Discussion

蒸着した金属薄膜を内部反射HD-VSFG分光測定の参照試料として使用するために、作製した試料表面に脂質単分子膜を形成し、そのSFG信号を観測した。得られたSFG信号の質や再現性が十分でなかったため、スパッタ装置のサンプル台への基板の固定方法の改善などを行ったが、参照試料として使用できる金属薄膜を作製することができなかった。この原因について検討するため、金属薄膜の土台となるシリカ薄膜表面の構造をHD-VSFG分光で調べた。CaF2基板にシリカ薄膜のみを蒸着し、その表面にLB法で形成した脂質単分子膜のSFG信号を観測したところ、最初は脂質由来の信号が観測されていたが、装置の定期メンテナンス後からその信号が全く観測されなくなった。同じ基板のシリカ層を蒸着していない面上に形成した脂質膜からはSFG信号が観測されたことから、装置の蒸着状況が変化し、蒸着したシリカ薄膜に問題が生じたと考えた。SFG信号が観測されなくなったシリカ薄膜表面の粗さを原子間力顕微鏡で観測したところ、信号が観測された基板と比べて粗さが5倍になっていた。SFG信号は表面で分子が配向していないと発生しないので、表面が粗くなったことで脂質分子の配向性が低下し、SFG信号が観測できなくなった可能性がある。シリカ薄膜の厚さや蒸着時の基板の温度などを変えることで、以前と同じ質の蒸着膜を作製できる条件について検討する必要がある。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 シリカコートCaF2基板


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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