利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.18】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22BA0001

利用課題名 / Title

3d窒化物磁性薄膜の磁気輸送特性の評価

利用した実施機関 / Support Institute

筑波大学 / Tsukuba Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

末益 崇

所属名 / Affiliation

筑波大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

小森 太郎,安田 智裕,堀内 拓海,旗手 蒼

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

BA-009:パターン投影リソグラフィシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

低消費電力の新規不揮発性メモリの開発に向け、磁化の向きを1ビットの情報に対応させ、電流で制御する研究が行われている。この研究の一環として、不純物を添加したフェリ磁性体Mn4N薄膜に注目している。これまでの研究で、Niを微量添加することで角運動量補償が生じ、補償組成近傍で室温下において磁場を用いない条件で世界最速の磁壁移動を達成した。しかし、より低電流密度での磁壁移動のため、材料探索が必要である。磁化補償点の前後で、磁気モーメントの方向が反転するため、試料の磁気輸送特性の評価が、補償点の有無を判断する際に有効である。
本研究では、非磁性不純物を添加したMn4N膜をエピタキシャル成長し、その磁気輸送特性を評価した。

実験 / Experimental

SrTiO3(001)基板上に、分子線エピタキシー法により非磁性不純物(Auなど)を添加したMn4N膜をエピタキシャル成長した。成長後、パターン投影リソグラフィシステムを用いて、薄膜をHallバーの形状に加工した。その後、物理特性測定システムを用いて、試料の面直方向に磁場を印加して、磁気輸送特性を室温で評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

図1に、Auを添加した試料(Mn4-xAuxN)の室温での磁気輸送特性を示す。Auの組成xが0.1と0.2の間で、磁気輸送特性の符号が反転している。Mn4Nでは、フェルミ面の状態密度は、面心サイトに位置するMn原子が主に担うことが分かっている。このため、符号が反転したことは、面心サイトのMn原子の磁気モーメントが反転したためと考えられる。今後、X線磁気円二色性測定により、角サイトに位置するMn原子の磁気モーメントの方向を含めて、詳細に検討する予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. Mn4-xAuxN薄膜の室温下での磁気輸送特性


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Taro Komori, Anisotropic magnetoresistance in Mn4−xNixN and the change in the crystalline field, Journal of Applied Physics, 132, (2022).
    DOI: 10.1063/5.0107172
  2. Takumi Horiuchi, Ferrimagnetic-ferromagnetic phase transition in Au-doped Mn4N epitaxial films confirmed by x-ray magnetic circular dichroism, AIP Advances, 13, (2023).
    DOI: 10.1063/9.0000412
  3. Tomohiro Yasuda, Sign reversal in anomalous Hall effect at two Sn compositions in Mn4−xSnxN films on MgO(001) substrates, AIP Advances, 13, (2023).
    DOI: 10.1063/9.0000411
  4. Taro Komori, Magnetic structure of 3d-element doped Mn4N films confirmed by X-ray magnetic circular dichroism – Conditions for magnetic compensation, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 564, 170050(2022).
    DOI: 10.1016/j.jmmm.2022.170050
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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