【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22HK0002
利用課題名 / Title
低放射化フェライト鋼の照射下微細組織発達に及ぼす核変換ガス原子の影響
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,走査プローブ顕微鏡/Scanning probe microscopy,イオンミリング/Ion milling,集束イオンビーム/Focused ion beam,電子顕微鏡/Electron microscopy,走査プローブ顕微鏡/Scanning probe microscopy,イオンミリング/Ion milling,集束イオンビーム/Focused ion beam,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
野澤 貴志
所属名 / Affiliation
量子科学技術研究開発機構核融合炉構造材料開発グループ
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
橋本直幸,岡弘
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
橋本直幸,原田真吾,内田悠 ,澤厚貴,遠堂敬史,王永明,森 有子,平井 直美,大多亮,谷岡 隆志,大久保 賢二
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
HK-103:マルチビーム超高圧電子顕微鏡
HK-301:環境セル対応透過電子顕微鏡
HK-304:集束イオンビーム加工・観察装置
HK-403:集束イオンビーム加工装置
HK-404:超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
原型炉での構造材料における核融合中性子照射効果予測に関する研究のうち、照射下での欠陥挙動及びそれに起因する材料特性変化の理解のため、各種照射場での欠陥生成挙動、照射下微細組織変化に及ぼす核変換ヘリウム・水素の相乗効果、析出物の相安定評価、照射硬化・変形挙動のメカニズム解明に取り組み、核変換ヘリウム影響の理解の進展、核融合中性子照射影響の解明、照射劣化モデルの構築を最終目標とする。
実験 / Experimental
核融合炉構造材の候補である低放射化フェライト・マルテンサイト鋼F82H に対し、470oCで23 dpaまでFe3++H+イオンDual照射(H+イオン濃度45 appm/dpa)及び500oCで20 dpaまでFe3++He++H+イオンTriple照射(He+イオン濃度11 appm/dpa, H+イオン濃度45 appm/dpa:核融合炉条件)を行い、マトリクス、ブロック境界、亜粒界、析出物近傍におけるキャビティのサイズ分布を精査した。粒界の性格評価にはTEMを用い、粒界を挟んで隣接する2つの結晶粒の菊池線図から各結晶粒粒界面の面指数を求め、粒界面の原子密度比を算出した。
結果と考察 / Results and Discussion
粒界面の原子密度比が1未満の粒界は、点欠陥に対するシンク強度が高い傾向にあることを確認した。図1に(a)
Fe+シングル照射、(b) (Fe++He+)デュアル照射、(c) (Fe++He++H+)トリプル照射(核融合炉条件)を行った時の粒界近傍の明視野像それぞれ示す。He,H存在下では、粒界近傍で微小なバブルが一様に形成したが、粒界から離れた領域ではボイドが形成した。このボイドは、Heを臨界の値まで吸収した後、粒界へ流入せず過飽和に存在していた空孔を吸収し成長したものと推察される。
DualおよびTripleイオン照射実験により、F82H中のキャビティ分布に明確な差異が確認された。図2に、 Triple照射(左)及びDual照射(右)したF82H中における、ブロック境界及び析出物近傍の微細組織を示す。Triple照射材中の高He, H濃度領域において、マトリクスやブロック境界、析出物表面に微小キャビティが観察される。また、He,
Hがほとんど存在しない領域では大きなサイズのボイドが形成している。一方、Dual照射材では、照射条件が類似しているにもかかわらず、Triple照射材中に観られたキャビティ形成は観察されない。これらの結果をもとに、F82H中のキャビティ形成に及ぼすHe,
Hの効果について、以下のように考察した。
F82H中にHeが存在する場合、空孔及びHeは自身の捕獲サイトにトラップされキャビティの核を形成すると考えられるが、ここでキャビティが高密度に核形成した場合は、余剰空孔の吸収のみでは成長できず、極微小空孔型クラスタ(
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 F82Hに470℃で40dpaまで(左) Fe+シングル照射、(中) (Fe++He+)デュアル照射、(右) (Fe++He++H+)トリプル照射(核融合炉条件)した時の粒界近傍損傷組織
図2 Triple照射(左)及びDual照射(右)したF82H中のブロック境界及び析出物近傍の微細組織
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- N. Hashimoto, H. Oka, M. Ando, Y. Watanabe, T. Nozawa, “Effect of transmutation gas atoms on cavity formation around grain boundaries in F82H”, NuMat2022 (The Nuclear Materials Conference), Ghent, Belgium, 2022.10.24-28.
- 橋本直幸, 核融合工学部会 企画セッション「大学における核融合炉研究の関連施設の現状 ―加速器を利用した材料研究―」「電子線/イオン同時照射下における微細組織変化その場観察圖子光樹,日本原子力学会・2021年春の年会, オンライン開催, 2021.3.17-3.19.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件