利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.01】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TU0048

利用課題名 / Title

固体酸化物形電解セル(SOEC)を用いた共電解における燃料極 / Fuel electrode in co-electrolysis using solid oxide electrolysis cell (SOEC)

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

固体酸化物形電解セル(SOEC),燃料電池/ Fuel cell,電極材料/ Electrode material,スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

佐藤 駿

所属名 / Affiliation

東北大学大学院環境科学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Shao xiaolin

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-159:芝浦スパッタ装置(冷却型)
TU-058:マスクレスアライナ
TU-051:ミカサ スピンコータ
TU-002:有機ドラフトチャンバー
TU-060:現像ドラフト


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

共電解とは、水蒸気と二酸化炭素を同時に電解し、合成ガスを生成する技術である。SOECを用いた共電解は、高効率であることや貴金属を使用しないことがメリットだが、一方で固体酸化物形燃料電池(SOFC)モードでの作動時に比べ劣化しやすく、長期耐久性に課題がある。燃料極で発生するSOECの劣化は、炭素の析出やNiの移動により反応場である三相界面が減少するためだと考えられている[1]。しかし、SOECセルは多孔質で電極の微細構造変化を正確にとらえることは大変困難である。そこで、セル構造を単純化し、模擬したモデル電極の作製を行い、燃料極の劣化機構の解明を目指す。 以前はモデル電極を作製する際に、Niの薄膜をPLD(Pulsed Laser Deposition)法にて製膜していたが、Ni薄膜が薄すぎたため、昇温段階で焼結によりNiの接続が切れてしまっていた。そこで、膜厚1µm以上のNi膜を製膜するために芝浦スパッタ装置を利用した。また、燃料極に着目した測定を行うために、リフトオフを用いてPtの対極を作製した。

実験 / Experimental

はじめに、MgO単結晶の上にPLD法にて、厚さ約1000nmのYSZ(Y0.16Zr0.84O1.92)薄膜(12 mm□)を製膜した。製膜条件はNd:YAGレーザーの4倍波(266 nm)を使用し,基板温度750 ℃,酸素分圧1 Pa,レーザー出力0.40 W,レーザーパルス周波数10 Hzとした。次に、スピンコーターを利用し、ZPN1150-90レジストを試料に塗布、プレベークし、マスクレスアライナにて露光後、TMAH現像液を用いてPt電極パターンを形成した。その後、芝浦スパッタ装置を利用し、Pt膜を約1.0µm積層した。スパッタはAr雰囲気、圧力0.4 Pa、RFパワー300 Wの条件で、レジストが熱で溶けないように、10分間ごとに冷却時間(約10分間)を挟んで行った。その後、90℃に加熱したNMP溶液に試料を10分間浸しレジストを除去して(リフトオフ)、所望のPtパターン電極を得た。 そして、芝浦スパッタ装置:冷却型を利用しNi(10mm□)を約2.0µm積層した。スパッタはAr雰囲気、圧力0.4 Pa、RFパワー300 Wの条件で80分行った。その後、フォトリソグラフィを用いてFig.1に示すパターン電極を得た。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 2に作製したモデルセルのレーザー顕微鏡像を示す。リフトオフにてPt電極を作製することで、規格化されたPt電極を作製することができた。Ni電極とPt電極間の距離は40μmとなるように加工を行い、目標とする距離に近い値を得ることができた。そのため、本手法で正しく規格化されたパターン電極を作製することができていると考えられる。今後はこのパターン電極を用いた実験の状況に応じて、本手法を用いて異なるパターン電極の作製に取り組む可能性がある。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Pattern diagram of model cell



Fig. 2 Laser microscope image of model cell


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献:[1] Y. Zheng et al., Chemical Society reviews, 46(5), 2017, 1427-1463 ・本研究はNEDO委託事業「次世代FT反応と液体合成燃料一貫製造プロセスに関する研究開発」において一般財団法人石油エネルギー技術センターからの再委託(JPNP16002)によって実施されたものである。ここに謝意を表する。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 佐藤駿, “Elucidation of fuel electrode degradation mechanisms using Nickel cermet cross-section model electrodes”第22回日韓学生シンポジウム(仙台), 令和4年11月24日
  2. 佐藤駿, 昆沙賀菜々子, Budiman Riyan Achmad, 山口実奈, 八代圭司, 川田達也, “Niサーメット断面モデルセル電極を用いた燃料極劣化機構の解明”第32回SOFC研究発表会(東京), 令和4年12月15日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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