利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.23】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NU0207

利用課題名 / Title

シリサイド超薄膜の形成と物性評価

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,X線回折/ X-ray diffraction,電子分光/ Electron spectroscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田岡 紀之

所属名 / Affiliation

愛知工業大学工学部電気学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

牧原克典,木村圭佑,谷田駿,佐野友之輔

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

加藤剛志,大島大輝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-203:薄膜X線回折装置
NU-224:電子ビーム蒸着装置
NU-227:走査型電子顕微鏡
NU-207:X線光電子分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、SiO2上に形成した極薄シリサイド薄膜は、分子センサ応用が可能なことから注目されている。本研究では、厚さ~5.0nmの極薄Ni膜へのSiH4照射によるNiシリサイド超薄膜の形成を試みた。

実験 / Experimental

p-Si(100)基板上に形成したSiO2熱酸化膜(膜厚~300 nm)上に、電子線蒸着により膜厚~5.0 nmのNi薄膜を堆積した後、基板温度280˚Cでpure SiH4照射を行った。尚、SiH4照射時間は13分および1分、圧力は10Paおよび130Paとし、照射量(照射時間×圧力)を一定とした。

結果と考察 / Results and Discussion

SiO2上に形成した極薄Ni膜の表面形状像から、表面ラフネスが熱酸化SiO2膜と同程度であることから、均一な膜形成が認められた。また、形成したNi薄膜を真空熱処理した場合(350˚C、3分)、Ni原子の表面マイグレーション・凝集が促進されるものの、280˚C以下では熱処理時間に依らず表面ラフネスに顕著な変化は認められなかった。280˚CでSiH4照射した後のAFM表面形状像では、僅かに表面ラフネスが増加するものの均一膜の形成が認められた。SiH4照射前後における化学結合状態を調べた結果、SiH4照射によりNi酸化成分の信号が消失し、Si-Niに起因する高エネルギー側のピークが認められた。また、SiH4照射後には、Si2p信号のSi酸化成分が顕著になった。これは、SiH4照射によりNi薄膜表面の自然酸化膜が還元された後、反応熱によりNi薄膜のシリサイド化が進行するとともに最表面にはSiが堆積していると考えられる。照射後の試料をGIXRD評価した結果、10Pa(13分)でのSiH4照射では僅かにブロードな信号が認められるものの、130Pa(1分)照射ではNiシリサイド(NiSiとNiSi2)に起因した明瞭な信号が認められた。これは、SiH4圧力10Paでは、表面反応律速となりNi薄膜上にSiが僅かに堆積するだけであるが、表面へのフラックス量を増加した場合では、表面反応が促進することに起因してNi薄膜がシリサイド化すると解釈できる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. ⾕⽥駿、⽊村圭祐、⽥岡紀之、牧原克典、宮﨑誠⼀、「Ni超薄膜へのSiH4照射によるシリサイド化反応制御」、24p-P13-1、第71回応用物理学会春季学術講演会(東京都市大学 世田谷キャンパス&オンライン、2024年3月22日-25日)
  2. 佐野友之輔、田岡紀之、大田晃生、牧原克典、宮﨑誠一、「HfZr酸化物へのNi電極形成が結晶構造および化学結合状態に与える影響」、2(24)、第29回 電子デバイス界面テクノロジー研究会―材料・プロセス・デバイス特性の物理―(東レ総合研修センター、静岡、2024年2月1日-2日)
  3. 木村圭佑、田岡紀之、大田晃生、牧原克典、宮崎誠一、「表面酸化処理したSi/Ni/Si構造の熱処理によるSiO2上への極薄NiSi2膜形成、15(23)、第29回 電子デバイス界面テクノロジー研究会―材料・プロセス・デバイス特性の物理―(東レ総合研修センター、静岡、2024年2月1日-2日)
  4. 佐野友之輔、田岡紀之、牧原克典、大田晃生、宮﨑誠一、「熱酸化Zr/Hf多重積層構造の結晶構造および強誘電特性評価」、信学技報, vol. 123, no. 89, SDM2023-31, pp. 15-18、電子情報通信学会 シリコン材料・デバイス研究会(SDM)「MOSデバイス・メモリ・パワーデバイス高性能化-材料・プロセス技術」((広島大学 ナノデバイス研究所、広島、2023年9月20日)
  5. 木村圭佑、田岡紀之、大田晃生、牧原克典、宮﨑誠一、「SiO2上へのNiシリサイドナノシート形成におけるH2O2溶液処理の効果」、23p-A602-15、2023年 第84回応用物理学会秋季学術講演会 (熊本城ホールほか3会場、熊本、2023年9月19日-23日)
  6. 佐野友之輔、田岡紀之、大田晃生、牧原克典、宮﨑誠一、「Zr/Hf多重積層構造の後酸化および電極形成後熱処理がHfZr酸化物の結晶構造に与える影響」、23p-A303-3、2023年 第84回応用物理学会秋季学術講演会 (熊本城ホールほか3会場、熊本、2023年9月19日-23日)
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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