【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23BA0034
利用課題名 / Title
パターン投影リソグラフィシステム及び電子線蒸着装置を利用した簡易型光シナプスの作製
利用した実施機関 / Support Institute
筑波大学 / Tsukuba Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
フォトニクスデバイス/ Nanophotonics device,光デバイス/ Optical Device,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
木下 健太郎
所属名 / Affiliation
東京理科大学先進工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
天野健太郎,佐田晋
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
谷川俊太郎
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
BA-004:電子線蒸着装置
BA-009:パターン投影リソグラフィシステム
BA-002:スパッタリング装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年、エッジコンピューティングを実現するためのAI技術としてリザバーコンピューティング(RC)が注目を集めている。RCの中間層「リザバー」は入力信号の非線形変換を担っており、この働きをソフトウェアに代えて物理ダイナミクスの非線形応答で置き換えることができる。物理実装したリザバー(物理リザバー)はRCの更なる高効率化を実現するが、精度の高い時系列学習を行うには、入力信号と物理リザバーの「緩和」の時間スケールが同程度である必要がある。Sn-doped In2O3(ITO)/ Nb-doped SrTiO3(NSTO)接合デバイスは、光信号により誘起される電流の緩和時間を電気的に制御できることが確認されており、広範な時間スケールの信号を単一デバイスでリアルタイム処理が可能な物理リザバーデバイスとして期待されている[1]。しかし、本デバイスの光応答特性の動作機構に関しては未解明な点が多く残されている。その一因として、電極材料が透明電極であるITOに限定されていたことが挙げられる。本研究では、電極/ NSTO接合において任意の電極材料を選択可能とするため、NSTO基板側から光照射可能な測定系を構築し、作製したデバイスの光応答特性評価を行った。
実験 / Experimental
NSTO基板側から光照射可能な構造とするため、光の透過率の高い低濃度Nb(0.1 wt%)-doped SrTiO3基板上に、フォトリソグラフィ及び電子ビーム蒸着によりAu電極を、また、オーミック接触を確保するための対向極としてPt/Tiを蒸着した。Ti/Ptを接地し、Auに一定の電圧 Vreadを印加した時の光応答特性の Vread依存性について調査した。電気特性評価には半導体パラメータアナライザを用いた。光源には、波長450nm (青色)、光強度50 mWの可視光レーザーを用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
Vread= 0, −0.5, +0.5 Vにおける光応答特性評価を行うと、光信号により誘起される電流の緩和時間は、0.5秒以下, 130秒, 313秒と求められた。このことから、Vreadの大きさを変更することで、光信号により誘起される電流の緩和時間を制御できることが明らかになった。この結果は、概要で述べたITO/NSTO接合における光応答特性のVread依存性と類似していることから、同特性がITOの透明性によりもたらされるのではないことが示された。今後は、電極材料を自由に選択可能な構造であるメリットを活かし、様々な電極材料を用いて測定を行うことで、電極/ NSTO接合デバイスの光応答特性の動作機構を解明したい。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] Yutaro Yamazaki et al., Advanced Science, 2304804 (2023).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 佐田晋, 鄭雨萌, 木下健太郎, “電極/Nb:SrTiO3 接合の光応答特性評価 -光電子シナプスデバイス実現に向けて-”, 電子情報通信学会 電子デバイス研究会, 機械振興会館, 2023年8月18日
- 佐田晋, 鄭雨萌, 木下健太郎, “光電子シナプスデバイス実現に向けた電極/Nb:SrTiO3 接合の光応答特性評価”, 第84回応用物理学会秋季学術講演会, 熊本城ホールほか3会場, 2023年9月21日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件