利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23BA0002

利用課題名 / Title

酸化物電子輸送層の電子親和力評価

利用した実施機関 / Support Institute

筑波大学 / Tsukuba Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

光デバイス/ Optical Device,スパッタリング/ Sputtering,ダイシング/ Dicing,電子分光/ Electron spectroscopy,エリプソメトリ/ Ellipsometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

末益 崇

所属名 / Affiliation

筑波大学数理物質系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

青貫 翔,DU Rui,髙柳 香織,竹中 春紀,佐藤 匠,岩井 藍

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

谷川 俊太郎,岡野 彩子,俵 妙

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

BA-007:ウェハーダイシングマシン
BA-019:分光エリプソメータ
BA-026:多機能走査型X線光電子分光分析装置(XPS)
BA-020:顕微ラマン
BA-002:スパッタリング装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

資源が豊富なBaとSiで形成されるBaSi2は、禁制帯幅が太陽電池に相応しい1.3 eVであり、光吸収係数が大きいことから薄膜太陽電池材料として期待されている[1,2]。BaSi2での光吸収で生じた電子・ホール対を分離する機構として、pn接合以外にも電子輸送層やホール輸送層とのヘテロ接合が期待されている[3-5]。本研究では、スパッタ法で形成した酸化物について、ヘテロ接合でのキャリア輸送を考える際に重要となる電子親和力を評価した。

実験 / Experimental

Zn0.68Ge0.32Oターゲットを用いて、RFスパッタ法により厚さ20 nmのZnGeOSi膜をSi基板上に堆積した。Zn0.68Ge0.32Oは、ZnおよびGeの酸化物であるが、ZnはGeに比べて蒸気圧が桁違いに大きいため、基板の温度を上げるとZn組成が減少することが分かっている。そこで、堆積時のSi基板温度を変えて、Zn/Ge組成比が変わるようにした。その後、紫外線光電子分光法によりイオン化エネルギーを求めた。さらに、分光エリプソメータで求めた光吸収係数から光学吸収端を求め、両者の引き算から各堆積条件での電子親和力を求めた。

結果と考察 / Results and Discussion

図1に堆積時の基板温度に対する電子親和力を示す。温度が高くなるにつれて電子親和力が減少するといえる。BaSi2の電子親和力は3.2 eVであるので、BaSi2膜での光吸収で生じた電子をZnGeO膜側に引き出すには、電子親和力がこの値よりも大きい必要がある。よって、堆積温度は室温程度が適していることが分かった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 ZnGeO膜の堆積温度と電子親和力の関係


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] T. Suemasu and N. Usami, J. Phys. D 50, 023001 (2017).
[2] T. Sumeasu and D.B. Migas, Phys. Status Solidi A 219, 2100593 (2022).
[3] Y. Yamashita et al., ACS Applied Materials & Interfaces 14, 13828-13835 (2022). 
[4] R. Du et al., Jpn. J. Appl. Phys. 62, SD1015 (2023).
[5] H. Takenaka et al., pn. J. Appl. Phys. 62, SD1011 (2023).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Sho Aonuki, Effects of hydrogen on trap neutralization in BaSi2 with interstitial silicon atoms, Thin Solid Films, 773, 139823(2023).
    DOI: 10.1016/j.tsf.2023.139823
  2. Sho Aonuki, Device operation of P‐ion‐implanted n‐BaSi2/p‐Si heterojunction solar cells, Progress in Photovoltaics: Research and Applications, 31, 1360-1368(2022).
    DOI: 10.1002/pip.3658
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:1件

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