【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0008
利用課題名 / Title
希土類ドープ窒化ガリウムへのフォトニック結晶構造形成2
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,CVD,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,フォトニクス/ Photonics
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
佐藤 真一郎
所属名 / Affiliation
量子科学技術研究開発機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
大里 啓孝,簑原 郁乃,河野 久雄,渡辺 英一郎
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-601:電子ビーム描画装置 [ELS-F125]
NM-605:水蒸気プラズマ洗浄装置 [AQ-500 #1]
NM-609:電子銃型蒸着装置 [ADS-E86]
NM-633:SiO2プラズマCVD装置 [PD-220NL]
NM-612:SiNプラズマCVD装置 [PD-220NL]
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
窒化ガリウム(GaN)半導体にドープされたネオジム(Nd)は、線幅の狭い安定した近赤外の発光を示すため、室温動作する単一光子源への応用が期待できるが、発光レートの改善が課題となる。本研究では、イオン注入したNdの自発放出レートをフォトニック結晶(PhC)との光学カップリングにより向上させる試みを行っており、室温での単一希土類からの単一光子発生の観測を目指している。
実験 / Experimental
シリコン (Si) 基板上 GaN (300 nmt) に400 nmφのホールを形成したイオン注入マスクを形成し、その上からNdをイオン注入(100 keV, 3×1012 cm-2)することで、150 nmφのNd注入領域を形成した。その後、 SiO2ハードマスクを約 100 nm 積層し、高速熱処理(1200℃, 2分)によりNdを活性化させた。続いて、電子ビーム描画装置を用いて形成したPhC-L3共振器のパターンを400 nmφNd注入領域と重ね合わせ、RIE ドライエッチング(CHF3, 3.0 Pa, 100 W, 5分)によってSiO2層に転写し、さらにICPドライエッチング(BCl3:Cl2=1:4, 0.5 Pa, 50 W, 3.5分)によって GaNに転写した。最後に、RIEドライエッチング(SF6, 5.0 Pa, 50 W, 25 min)によってSi基板をエッチングし、エアギャップ構造を形成した。得られたL3共振器中央部に存在するNdの室温での発光スペクトルを、通常のNd発光スペクトルと比較した。また、発光遷移寿命の比較を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
イオン注入したNdからは、4f殻内遷移発光のうち、4F3/2→4I9/2、4F3/2→4I11/2遷移に起因する916 nmおよび1107 nmのピークが強くあらわれた。PhCの設計値(ホール間隔aとホール半径r)を適切に変更することにより、PhC-L3共振器中央にイオン注入したNdの916 nm発光と1107 nmの発光をそれぞれ増強させることに成功した。また、発光遷移寿命が有意に減少したことから、これらがPhC-L3共振器との結合によるパーセル効果(自発放出レートの上昇)であることを明らかにした。しかし、図に示したように、12個作製した同じ設計値のPhC-L3共振器の発光スペクトルはそれぞれ異なっており、また発光遷移寿命にも大きなばらつきがあった。これは、ホールの径のばらつきや真円の不完全性に起因していると考えられるため、プロセスの改善によるクオリティの改善、歩留まり良く作製可能な構造デザインの提案が必要であることがわかった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
(a) 作製したフォトニック結晶(PhC)の電子顕微鏡像、(b) 設計値が同じ12個の異なるNd-PhCの室温PLスペクトル。ホール間隔 a=435 nm、r/a=0.36(rはホール半径)。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Shin-ichiro Sato, Room temperature optical coupling of neodymium ions to photonic crystal L3 cavity in gallium nitride semiconductor, Applied Physics Express, 17, 072001(2024).
DOI: https://doi.org/10.35848/1882-0786/ad5bbd
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- S.-I. Sato and T. Oto, "Near-Infrared Photoluminescence of Neodymium Implanted Gallium Nitride Coupled to Photonic Crystal L3 Cavity," 21st International Conference on Radiation Effects in Insulators, Sep. 6, 2023, Fukuoka, Japan (Poster presentation).
- 佐藤真一郎「窒化ガリウム半導体に注入した希土類イオンの発光を ナノ構造を使って増強する」QST高崎サイエンスフェスタ2023(高崎)、2023年12月6日(口頭)
- S.-I. Sato and T. Oto, "NEODYMIUM IONS OPTICALLY COUPLED TO GALLIM NITRIDE PHOTONIC CRYSTAL CAVITY," The 7th QST International Symposium, Jul. 24, 2024, Takasaki, Japan (Poster presentation).
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件