利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.04.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22KT1217

利用課題名 / Title

グラフェンナノリボンの構造的特徴を活かした有機強誘電体の開発

利用した実施機関 / Support Institute

京都大学 / Kyoto Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電気計測,有機強誘電体,グラフェンナノリボン,薄膜,メモリ


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

信末 俊平

所属名 / Affiliation

京都大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

Mahmoud Ahmed Mohammed Fuad,Zhang Luoyue

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

松嶋朝明

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KT-330:強誘電体特性評価システム
KT-326:高周波伝送特性測定装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 グラフェンナノリボンはグラフェンをナノメートルサイズの幅に切り出した帯状の物質で、グラフェンから引き継がれる優れた電荷移動特性や柔軟性、バンドギャップと高いオン・オフ比をもつことが予想されており、次世代の半導体材料として期待されている。そのグラフェンナノリボンの一次元状に長いパイ共役骨格の構造的な特徴を活かし、新たな有機強誘電体の開発およびその特性発現のための学理の構築を研究の目的とした。有機強誘電体としてポリフッ化ビニリデンが広く知られているが、柔軟なsp3炭素からなるため無機物と比較して自発分極の値は小さい。そこで、剛直なsp2炭素からなるGNRを非対称に修飾することにより、大きな双極子モーメントを有する有機強誘電体の開発を目指した。さらにより発展研究として、置換基を導入することによりヘリカルな非対称GNRを合成し、そのらせん方向への双極子モーメントを電場により変換することで発現する強誘電体を創出し、その発現に関する新たなメカニズムを明らかにすることを目的とする。
 強誘電体特性の測定に必要な電流-電圧特性の測定は自研究室内の機器でも可能であるが、研究室では0.1 Hz以下の低い周波数帯の測定しかできていない。研究室の機器を用いた予備測定により強誘電体特性に由来するピークが得られているが、より高い周波数でそこで、0.1-1000 Hz程度の幅広い周波数帯の強誘電特性の測定が可能なナノハブ施設の測定装置を利用し、強誘電体特性の詳しい測定を行うこととした。

実験 / Experimental

【利用した主な装置】
 強誘電体特性評価システム、高周波伝送特性測定装置
【実験方法】
 有機合成化学的な手法で合成した非対称グラフェンナノリボンを液晶化合物中に分散させ、サンドイッチ型のITO電極に封入したサンプルセルを作成した。強誘電測定装置とサンプルセルをつなげるため、両ITO電極に銀ペーストを塗布し、銀ペーストに測定の針を接触させることで測定を行った。測定を行ったサンプル及び測定装置の様子をFigure 1に示す。
 測定には、媒体となる液晶化合物が液晶状態である室温、および等方性液体となる高温状態(90 ºC、140 ºC程度)で行った。また、液晶セルを用いた強誘電体特性の測定は研究室内では初めての試みであったため、強誘電性を示すことがわかっている強誘電性液晶物質を用いて測定を行い、我々のITO電極を用いたサンプルセル・手法に誤りがないか確認を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 まず、参照化合物として測定を行った、強誘電性液晶化合物の測定結果である電流-電圧特性をFigure 2に示す。10-500 Hzの広い周波数帯で強誘電性に由来するピークが観測された。これにより、我々が作成した液晶セルのよる測定が可能であることがわかった。
 次に、我々が合成した非対称グラフェンナノリボンを液晶化合物に分散させたサンプルの測定を行った。その結果、0.1 Hzの低周波数領域でのみ強誘電性に由来すると思われるピークが観測されたが、ピークの強度が非常に小さく明確な強誘電特性の帰属には至らなかった。これは、目的とするグラフェンナノリボンの液晶中での濃度が1 wt%と非常に低いためと思われる。そのため、明確な特性の確認のためには高濃度の測定が必要だと予想される。予備的な測定として、固体状態での明確な強誘電特性が観測された。今後、より詳細な測定を行う予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1



Figure 2


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

特になし


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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