利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.30】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22UT0184

利用課題名 / Title

ポリオキソメタレート修飾した高活性アニオン性貴金属ナノ粒子触媒の創製

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,電子分光,ナノ多孔体/ Nanoporuous material,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage,ナノ粒子/ Nanoparticles


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

夏 康

所属名 / Affiliation

東京大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-005:原子分解能元素マッピング構造解析装置
UT-007:高分解能分析電子顕微鏡
UT-008:高分解能トップエントリー型透過電子顕微鏡
UT-101:低損傷走査型分析電子顕微鏡
UT-301:多機能走査型X線光電子分光分析装置(XPS)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ポリオキソメタレート(POM)で修飾した金属ナノ粒子は、その修飾によって触媒性能が変化し、協奏的な触媒作用を実現できるため、近年広く研究されている。しかしながら、そのPOMで修飾した金属ナノ粒子は構造的な不安定性、修飾効果・反応機構には未解明な点が多数あり、触媒としての利用には課題が多く残されている。本研究では、機能性POMと金属ナノ粒子の相互作用を明らかにし、合理的に活性点を精密に創出することを目的としており、新しい反応性の実現、反応効率の向上、触媒構造と反応性の関係の理解等が期待される。

実験 / Experimental

ポリオキソメタレートで修飾した金属ナノ粒子(M-POM)を合成し、必要に応じて活性炭に担持した触媒(M-POM/C)を調製した。その材料の表面形態と電子状態は、電子顕微鏡(TEM2000EX、TEM2010F、JEM-ARM200F、JSM-7500FA、JSM-7800F)とX線光電子分光装置(PHI 5000 VersaProbe)を用いて考察された。

結果と考察 / Results and Discussion

ナトリウム塩とテトラアルキルアンモニウム塩のPOM(Na-POMとTAA-POM)で修飾した金ナノ粒子を電子顕微鏡で観察することで、それぞれ平均粒子径5 nmと3 nmの金ナノ粒子が生成したことを明らかにした(Figure 1a、b)。また、TAA-POMで修飾したAuナノ粒子は、ベンジルアルコールの酸素酸化反応に高い触媒活性を示しながら、反応に使用後にも粒子径の変化が見られなかった。TAA-POMで修飾したAuナノ粒子の電子状態をX線光電子分光により評価した結果、高い触媒活性は、POMの電子効果によってアニオン性Auナノ粒子が生成したことが分かった(Figure 1c)。これらの結果より、TAA-POMで修飾したAuナノ粒子の高い触媒活性は、アニオン性のAu種が酸素分子を効率的に活性化することに起因すると考えられる。また、本触媒設計戦略は他の金属ナノ粒子にも適用可能であり、今後、その表面形態と電子状態を測定する予定である。 

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1. TEM images of Au nanoparticles protected by (a) sodium salts of POM (Na-POM) and (b) tetraalkylammonium salts of POM (TAA-POM) respectively, and (c) XPS spectra of Au 4f region of Au-TAA-POM.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献:K. Xia, K. Yamaguchi, K. Suzuki, Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62, e202214506. ・東京大学微細構造解析部門の押川様、森田様、福川様、近藤様に感謝します。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Kang Xia, Supported Anionic Gold Nanoparticle Catalysts Modified Using Highly Negatively Charged Multivacant Polyoxometalates, Angewandte Chemie International Edition, 61, (2022).
    DOI: 10.1002/anie.202205873
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 夏康, 谷田部孝文, 米里健太郎, 矢部智宏, 山添誠司, 鈴木康介, 山口和也, “多欠損型ポリオキソメタレートで修飾したアニオン性担持金ナノ粒子触媒”, 第130回触媒討論会, A2-2J05, 富山, 2022年9月.
  2. 夏康, 谷田部孝文, 米里健太郎, 矢部智宏, 山添誠司, 鈴木康介, 山口和也, “多欠損型ポリオキソメタレートで修飾したアニオン性担持金ナノ粒子触媒の開発”, 第12回CSJ化学フェスタ2022, B2-17, 東京, 2022年10月.
  3. 夏康, 谷田部孝文, 米里健太郎, 矢部智宏, 山添誠司, 鈴木康介, 山口和也, “多座配位型ポリオキソメタレートで修飾した金属ナノ粒子触媒の開発”, 日本化学会第103春季年会, K501-3vn-02, 千葉, 2023年3月.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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