利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TU0085

利用課題名 / Title

固体酸化物形電解セル(SOEC)を用いた共電解における燃料極 / Fuel electrode in co-electrolysis using solid oxide electrolysis cell (SOEC)

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

固体酸化物形電解セル(SOEC),リソグラフィ/Lithography,膜加工・エッチング/Film processing and Etching,スパッタリング/Sputtering,燃料電池/ Fuel cell,電極材料/ Electrode material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

昆沙賀 菜々子

所属名 / Affiliation

東北大学大学院環境科学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

佐藤駿,江畑聡一郎

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-159:芝浦スパッタ装置(冷却型)
TU-058:マスクレスアライナ
TU-211:プラズマクリーナー
TU-002:有機ドラフトチャンバー
TU-051:ミカサ スピンコータ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

共電解とは、水蒸気と二酸化炭素を同時に電解し、合成ガスを生成する技術である。SOECを用いた共電解は、高効率であることや貴金属を使用しないことがメリットだが、一方で固体酸化物形燃料電池(SOFC)モードでの作動時に比べ劣化しやすく、長期耐久性に課題がある。燃料極で発生するSOECの劣化は、炭素の析出やNiの移動により反応場である三相界面が減少するためだと考えられている[1]。しかし、SOECセルは多孔質で電極の微細構造変化を正確にとらえることは大変難しい。
そこで、セル構造を単純化し、模擬したモデル電極の作製を行い、燃料極の劣化機構の解明を目指す。以前はモデル電極を作製する際に、Niの薄膜をPLD(Pulsed Laser Deposition)法にて製膜していたが、Ni薄膜が薄すぎたため、昇温段階で焼結によりNiの接続が切れてしまっていた。そこで、膜厚1 µm以上のNi膜を製膜するために芝浦スパッタ装置を利用した。また、燃料極に着目した測定を行うために、リフトオフを用いてPtの対極を作製した。

実験 / Experimental

【利用した主な装置】
 スピンコーター、マスクレスアライナ(Heidelberg Instruments MLA150)、芝浦スパッタ装置:冷却型

【実験方法】
 はじめに、MgO単結晶の上にPLD法にて、厚さ約500 nmのYSZ(Y0.16Zr0.84O1.92)薄膜(12 mm□)を製膜した。製膜条件はNd:YAGレーザーの4倍波(266 nm)を使用し,基板温度750 ℃,酸素分圧1 Pa,レーザー出力0.40 W,レーザーパルス周波数10 Hzとした。
 次に、スピンコーターを利用し、ZPN1150-90レジストを試料に塗布し、マスクレスアライナにて露光後、TMAH現像液を用いてPt電極パターンを形成した。その後、芝浦スパッタ装置を利用し、Pt膜を約1µm積層した。スパッタはAr雰囲気、圧力0.5 Pa、RFパワー300 Wの条件で、レジストが熱で溶けないように、10分間ごとに冷却時間(約10分間)を挟んで行った。その後、90℃に加熱したNMP溶液に試料を10分間浸しレジストを除去して(リフトオフ)、所望のPtパターン電極を得た。
そして、芝浦スパッタ装置:冷却型を利用しNi(10 mm□)を約1.7µm積層した。スパッタはAr雰囲気、圧力0.5 Pa、RFパワー300 Wの条件で行った。その後、フォトリソグラフィを用いてFig. 1に示すパターン電極を得た。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig. 2に作製したモデルセルのレーザー顕微鏡像を示す。リフトオフにてPt電極を作製することで、規格化されたPt電極となり正確にパターニングを行うことができた。Ni電極とPt電極間の距離は40 μmとなるように加工を行ったが、実際はそれよりも小さくなった。これはリフトオフで作製したPt電極のサイズがわずかに大きくなっているためである。露光時間や強度などを変化させることで、より精度の高い加工が行えると考える。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Pattern diagram of model cell



Fig. 2 Laser microscope image of model cell


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献:[1] Y. Zheng et al., Chemical Society reviews, 46(5), 2017, 1427-1463
・国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として行った研究成果である。ここに謝意を表する。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 昆沙賀菜々子, “Structural change of Nickel electrodes in co-electrolysis using solid oxide electrolysis cell (SOEC)”, 第21回日韓学生シンポジウム
  2. 昆沙賀菜々子, “Niサーメット断面モデル電極を用いたSOEC共電解時の燃料極の形態変化観察”, 第31回SOFC研究発表会
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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