【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NU0219
利用課題名 / Title
亜臨界流体を用いた特異な分離反応場による材料創製
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
神田 英輝
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
神田英輝,王涛,朱力
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
浦部陽子,林育生,西村真弓
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-227:走査型電子顕微鏡
NU-228:走査型電子顕微鏡
NU-236:In-situ電子スピン共鳴
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
亜臨界抽出溶媒の液化ジメチルエーテル(以下DMEと略す)を用いて珪藻キートセラスから抽出・分離した脂質と高抗酸化作用物質のフコキサンチンの分析を行うために、名古屋大学の設備を利用してFE-SEM観察および元素分析を行った。
実験 / Experimental
珪藻キートセラスの元の試料、脂質および残留物をFE-SEMの試料台に固定し、スパッタリング装置(Osmium Plasma Coater OPC-60A, Filgen, Nagoya, Japan)を用いて加速電圧が20 kVでオスミウムを10 nmの厚さまでコーティングした。その後、FE-SEM (JSM-7500F, JEOL, Tokyo, Japan)を用いて、SEM と元素マッピングを測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig.1に元の試料、脂質および液化DME抽出とエタノール抽出の両方で得られた残留物、FE-SEM画像および元素マッピングの画像を示す。SEM画像から定量したC, N, O, Si, Na, Cl元素の比率をTable 1に示した。液化DMEとエタノールで抽出した脂質では、C含量が増加し、N、O、Si含量が減少した。一方で、残渣では、C含量が減少し、N、O、Si含量は増加した。このことから、どちらの抽出操作でも、脂質が抽出されたが、タンパク質、炭水化物、シリカの細胞壁が抽出されなかったことが示唆された。液化DME抽出とエタノール抽出で得られた抽出物の元素比率を比較すると、液化DME抽出では、C含量がより増加し、バイオ燃料の品質指標であるC/N比はエタノール抽出よりも高い。このことは、燃料に転換する際の熱的変換プロセスへの適合度が、液化DME抽出物がエタノール抽出物よりも高いことを示唆する。 元の試料のNa含量を見ると、BG-11培養液に由来するNaは2.71 %であった。FE-SEM画像から解るように、エタノール抽出で残渣からNaがほぼ完全に除去された。エタノールの残留物とは対照的に、液化DMEの残留物では、Naが高濃度に存在する領域があり、液化DMEがNaNO3の貧溶媒としても機能したと考えられる。また、一般に抽出脂質に含まれる無機物が少ないほど後段の精製工程の負荷が小さくなるが、液化DME抽出物ではNaは殆ど含まれず、一方でエタノール抽出物には多量のNaが混入する問題が判明した。これらを総合的に判断すると液化DMEは乾燥の前処理を省くことができるだけでなく、抽出油脂の性状の面でも優れており、極めて望ましい油脂抽出溶媒であることが判明した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 FE-SEM images of native diatom and its residues and extracts after liquefied DME and ethanol extractions.
Table. 1 FE-SEM elemental compositions of native C. simplex var. calcitrans and its residues and extracts after liquefied DME and ethanol extractions.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・本研究は, 独立行政法人環境再生保全機構の環境研究・技術開発基金JPMEERF20223C05の助成を受けて実施しました.・SEM, Raman測定は, 機器分析室の林様と西村様のご協力で実施しましたので, 感謝いたします. ・ESR測定は, 石川健治先生から貴重なアドバイスをいただき, 感謝しております.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Wang Tao, Zhu Li, 楠美 海斗, 神田 英輝, “液化ジメチルエーテルによる高含水珪藻からのフコキサンチンと脂質の直接抽出”化学工学会 第88年会, 令和5年3月16日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件