【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23RO0008
利用課題名 / Title
太陽電池の製作と基礎実験
利用した実施機関 / Support Institute
広島大学 / Hiroshima Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
成膜・膜堆積,熱処理,ドーピング,電気計測,太陽電池/ Solar cell,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
佐々木 康子
所属名 / Affiliation
広島大学附属高校
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
山田 真司
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
RO-221:酸化炉
RO-226:燐拡散炉
RO-227:汎用熱処理装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
高校 2 年生に対して、「先端研究実習」というカリキュラムを実施している。最新技術の一端を知ることを目的としている。 その一つとして太陽電池について学ぶプログラムがあり、広島大学ナノデバイス研究所で作製した太陽電池ウェーハを使い、 電極形成を生徒各自で行い、動作確認・測定・評価をおこなった。クリーンルーム内の設備と作業を見学した。
実験 / Experimental
広島大学ナノデバイスに作製依頼した太陽電池ウェーハに、生徒各自が電極形状を工夫し太陽電池を作製した。作製依 頼したウェーハは、2 インチの P 型基板に、最初に酸化炉にて酸化膜をつけ、鏡面側のみリン拡散炉にてリン拡散を行い N 型にドープしたものである。電極作製は、InSn半 田での半田付け練習を行った後に、太陽電池ウェーハの裏面側にベタの電極を作製し、受光面となる表面には効率を考え ながら各自電極形状を工夫して 15 枚作製した。 動作確認は、窓辺の直射日光を光源とし、低電圧用DCモータの回転で確認した。発電性能の出力特性(I-V特性)の測 定は、明るさを一定とした白熱電球で、電流計と電圧計を使い、負荷抵抗のダイヤル可変抵抗器を変化させて測定した。ま た、自動測定器による測定も行った。
結果と考察 / Results and Discussion
変換効率は、9.3~1.5%であった。Fig .1 は、
最大効率を記録した太陽電池ウェーハの写真と
発電性能の出力特性(I-V 特性)の測定結果である。
他の生徒の内 3 名は 1 回目の測定結果を見て、電極
のパターンの修正を行い、性能改善を試みた。
Fig .2~Fig .7 は、その修正前後の太陽電池ウェーハの
写真と出力特性(I-V 特性)の測定結果である。
Fig .2 と Fig .3 は、性能改善に成功した生徒の場合の修正前後のウェーハ写真と出力特性で、Table.1 は測定結果の
主な項目の比較による改善結果である。
電極パターンの修正(半径方向の接続を追加)で電極の直列抵抗は全データの最大抵抗値(23.75Ω)から最小抵抗値(2.34
Ω)に大幅に下がった。元々開放電圧が全データの中で最大であったので、最大出力電力も 1.59mW→6.52mW と 4.1 倍
に改善された。
Fig .4 と Fig .5 および Table 2 も同様に改善を試みた例である。
Fig .4 と Fig .5 は、電極パターンの修正(直角方向の接続ラインを 3 本追加)を行ったが、直列抵抗は微増し(2.50Ω)→
(3.13Ω)、短絡電流も若干低下、最大出力電力も 5.68mW→5.26mW と減少した。しかし、開放電圧は変わらず並列抵抗
は増加(改善:177Ω→250Ω)されている。電極の追加が受光面積の減少として性能に現れたのかもしれない。
Fig .6 と Fig .7 および Table3 の場合は、直列抵抗の減少はできたが、性能改善がわずかであった生徒の場合の修正
前後のウェーハ写真と出力特性である。 電極パターンの修正(羽根を追加)で電極の直列抵抗は(3.41Ω)→(3.0Ω)となっ
たが、並列抵抗は(389Ω)→(328Ω)と低下、開放電圧も短絡電流も僅かに下がったが、最大出力電力は微増となった。
効率は 7.2%のままであるが、最大出力を示すポイントが高電圧側に少し移動し FF が 0.584→0.610 と改善された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig .1 Maxη=9.3% solar cell (Wafer & I-V curve)
Fig. 2 η=2.0% (修正前)
Fig. 3 η=8.1% (修正後)
Fig. 4 η=7.1% (修正前)
Fig. 5 η=6.6% (修正後)
Fig. 6 η=7.2% (修正前)
Fig. 7 η=7.2% (修正後)
Table .1 電極修正前後の主な測定項目の比較(例1)
Table .2 電極修正前後の主な測定項目の比較(例2)
Table .3 電極修正前後の主な測定項目の比較(例3)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
改善の試みは、部分的な変更による特性の変化を見ることができ、各性能項目へ与える影響を吟味する上で興味深い。 今回は、直列抵抗が殆ど 5Ω以下でできたので、電極形成としてはかなりうまく進められたといえる。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件