利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23BA0005

利用課題名 / Title

グラフェンの伝導特性

利用した実施機関 / Support Institute

筑波大学 / Tsukuba Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

グラフェン


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

神田 晶申

所属名 / Affiliation

筑波大学数理物質科学研究群

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

増野谷 拓実,黄 天辰,近藤 さらな

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

BA-005:電子線描画装置
BA-009:パターン投影リソグラフィシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

グラファイトの一層分である「グラフェン」に格子歪みを導入した際の物性(電気伝導等)の変化を研究する。理論では、格子歪みによって擬似的なゲージ場が生じ、電気伝導が変調することが予測されている。歪みによってバンドギャップが生成できれば、グラフェンをエレクトロニクス材料に利用するために大きなブレークスルーとなることが期待される。本研究では、単一のグラフェンの歪み量を変化させ、ラマンスペクトルと電気伝導に対する格子歪みの影響を定量的に評価することを目標としている。

実験 / Experimental

細長い穴(スリット、幅50-100ミクロン)のあいたSiO2/Si基板(10ミリ角)上にARIMのパターン形成リソグラフィー装置を用いて電気伝導測定用のCr/Au電極を形成した。スリット部では、スリットの両側から幅方向に電極がのびており、中心付近に間隔約5ミクロンのギャップがあいている。このギャップを橋渡しするようにグラフェンを転写した。
ギャップの間隔の調整はピエゾ素子を使って行った。走査電子顕微鏡による観察とラマン顕微鏡による局所ラマン分光を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

基板を歪み導入機構に固定した後、走査電子顕微鏡(SEM)中でピエゾ素子への印加電圧を変えてギャップ間隔の変化を観察した。その結果、ギャップ間隔は再現性良く変化することが分かった。次に、この基板のギャップ上にグラフェンを転写して顕微ラマン分光を行った。その結果、ピエゾ電圧の印加に伴い、ラマンスペクトルにおけるグラフェンに特徴的なバンド(Gバンド、2Dバンド)が変化することが観察された。(Gバンド、2Dバンドの位置(波数)は歪みによってシフトすることが知られている。)ただし、ピエゾ電圧の増減を複数回繰り返したところ、ラマンスペクトルのシフト量に再現性は見られなかった。
 そこで、同様の試料をSEMで観察した。ピエゾ電圧の印加に伴ってグラフェンにはしわが観察された。ただし、ピエゾ素子に最大電圧(150 V)を印加したのち数分間放置すると、グラフェンのしわの消失が観察された。このことから、グラフェンが基板上で滑り、歪みが緩和されていることが判明した。このグラフェンの滑りを防止するために、電子線レジストを使ってグラフェンを基板上で固定する実験を進めている。(電子線レジストの加工には、ARIMの電子線描画装置を用いた。)

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 増野谷拓実,近藤さらな,友利ひかり,林正彦,神田晶申,“グラフェンのひずみ可変デバイスの作製”第84回応用物理学会秋季学術講演会,令和5年9月20日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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