【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.26】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0062
利用課題名 / Title
III-V族化合物半導体パルス幅可変レーザーの開発
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
化合物半導体,CVD,膜加工・エッチング/ Film processing/etching
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
中前 秀一
所属名 / Affiliation
東京大学物性研究所 機能物性グループ
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
渡辺英一郎
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-605:水蒸気プラズマ洗浄装置 [AQ-500 #1]
NM-609:電子銃型蒸着装置 [ADS-E86]
NM-604:マスクレス露光装置 [DL-1000/NC2P]
NM-633:SiO2プラズマCVD装置 [PD-220NL]
NM-619:赤外線ランプ加熱装置 [RTP-6 #2]
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
半導体レーザーを直接変調し光パルスを発生させる利得スイッチング法は、小型安定で低コストな光源としてレーザー加工や蛍光顕微鏡などへ利用できる。本研究の目的は、III-V族化合物半導体レーザーの構造を設計し、レーザーダイオードチップへの加工、デバイスへの組み立てを行い、出力パルス幅が数ピコ秒からナノ秒まで可変なデバイスを作製、その構造の最適化、加工手法の確立を行うことである。また、出力パルス幅が数ピコ秒となる非線形な利得スイッチング動作の物理的な理解、制御を目指す。
実験 / Experimental
N型GaAs基板の上に量子井戸層、SCH層、P型コンタクト層をエピタキシャル成長した半導体レーザー作製用の基板を用いて、基板表面からP型半導体層、N型半導体層それぞれへの電極を作製する、横型配置の試料の作製とそのアニールテストを行った。
基板はプラズマCVD装置を用いてSiO2を積層したのちチップ形状に分割、テスト用チップに対してSiO2層除去、マスクレス露光装置、6連自動蒸着装置を用いてアノード電極を作製した。次にアノード電極をマスクにウェットエッチングし、コンタクト層を取り除いた。次にマスクレス露光装置でカソード電極のパターニングをし、レジストをマスクにN型半導体層までのウェットエッチングを行い、そのまま6連自動蒸着装置を用いてカソード電極を作製した。その後アニールテストのための試料分割を行った。
作製した試料について、赤外線ランプ加熱装置でのアニールのテストを行った。電極が装置側サセプタに固着するのを防ぐため、装置サセプタ上にベアのGaAs基板、その上に試料を電極側を下にして置いた。アニールは試料を置く向き(上下)、アニール温度(420℃、380℃)、時間(0.5分、2分、5分)を変えて行った。
ここまでの一連の試料作製と試料のアニールはNIMS設備を用いて行った。
作製した試料を持ち帰り、アノード間抵抗、カソード間抵抗の測定とアノード-カソード間の電流、電圧測定を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
アニールテスト試料の、アノード間抵抗、カソード間抵抗の測定を行った。カソード間の抵抗は、アニール前は10MΩ以上の高抵抗だが、アニール後は、アニール時の条件を問わず数mΩ以下となった。この結果から、カソードはアニール条件に依らず比較的容易に良好なコンタクトが得られることが分かった。アノード間の抵抗は、アニール条件によって違いがみられた(図1)。
次に、アノード-カソード間の電流、電圧測定を行った。図2はそれぞれのアニール条件での電流、電圧測定の結果である(電極下420℃5分、電極上380℃2分の試料については、試料の問題によって測定結果が乱れている)。どの条件においても大きなリーク電流は見られず、特に電極下420℃2分の条件では良好なダイオード特性が得られることが分かった。
今回の実験で、基板表面からP型半導体層、N型半導体層それぞれへの電極を作製する横型配置の試料を作製でき、最適なアニール条件を見つけることができた。一方でアニール時に試料を置く向きによって、アノード間抵抗、電流電圧特性に変化が生じることも分かった。これは、今回のような赤外線アニール装置の利用方法において、試料の上下で均一なアニールが行えないことを意味する。これは、基板表面にアノード、基板裏側にカソードを作製する縦型配置の試料で問題となる。また、半導体レーザーチップをへき開によって作製する場合、基板を薄く研磨してから基板裏側にカソード電極を蒸着することになるが、大きな基板の場合歪みによって基板に湾曲が生じ、均一なアニールができないといった問題もある。これらを解決するために、蓋付きのサセプタを用いるなどして、試料全体を均一に熱処理する工夫が必要となる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. アノード間抵抗の電極間隔、アニール条件に対する変化。
図2. 電流電圧特性のアニール条件による変化。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件