【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.03】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT1184
利用課題名 / Title
ワイドギャップ半導体の電子デバイス研究
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
エレクトロデバイス/ Electronic device,走査プローブ顕微鏡/ Scanning probe microscope,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,エリプソメトリ/ Ellipsometry
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
前田 拓也
所属名 / Affiliation
東京大学工学系研究科電気系工学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
若本祐介,棟方晟啓
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-303:分光エリプソメータ
UT-305:環境制御マニュアルプローバステーション
UT-859:小型原子間力顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
Scandium Aluminum Nitride (ScAlN)は,強い分極や強誘電性を有しており,GaN上にエピタキシャル成長でできることから,次世代GaN HEMTのバリア層材料として近年注目を集めている.しかし,研究の歴史が浅く,GaN上の結晶成長技術・デバイスプロセス技術の確立や諸物性の理解が強く求められている.本研究では,GaN上にエピタキシャル成長した単結晶ScAlN薄膜について,表面形状や結晶構造,誘電関数およびバンドギャップについて詳細かつ系統的に調べた.
実験 / Experimental
スパッタ法で成長したScAlN/GaNに対して,原子間力顕微鏡(AFM)によって表面形状の観察を行なった.原子レベルで平坦な表面が得られ,二乗平均面粗さ(RMS)は0.54-0.69 nm程度と良好な値が得られた.環境制御マニュアルプローバステーションを用いて試料の強誘電特性を測定した。次に,X線回折(XRD)による測定を行なったところ,GaN上にコヒーレント成長しており,Sc組成増加につれてc軸長が増加することがわかった.これは,ScAlNの格子定数を二次関数モデルとしてポアソン比を考えた時にGaN上に歪みを持って成長した場合の計算値によく一致しており,ScAlNが歪みを有してGaN上に擬似格子整合していることを示唆している.また,分光エリプソメトリー(図1)によってScAlNの誘電関数を求めた.屈折率と消衰係数の波長依存性を得ることができ,消衰係数からScAlNの光学バンドギャップを得た.得られたバンドギャップはSc組成増加につれてわずかに減少した.
結果と考察 / Results and Discussion
上記の得られた結果は,スパッタ成長によってGaN上に成長したScAlNの構造的・光学的な物性としてreasonableであり,過去に報告されているsapphire基板上にMBE成長したScAlNなどと同様の物性を示している.今後,得られた結晶成長技術や物性の知見を活かして,ScAlN/GaN HEMTの作製に取り組む.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 分光エリプソメトリーによって測定したScAlN/GaNの振幅反射率と位相差
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 前田拓也, 若本裕介, 金木奨太, 藤倉序章, 小林篤, "分光エリプソメトリーによるScAlN/GaNの光学物性評価", 第84回応用物理学会 秋季学術講演会, 22p-B101-3, 熊本市民会館, 2023 年 9 月, 口頭発表.
- 前田拓也, 若本裕介, 金木奨太, 藤倉序章, 小林篤, "GaN 基板上にスパッタ成長した ScAlN 薄膜の構造・光学物性の評価", 第42回電子材料シンポジウム (EMS 42), Th-1-10, THE KASHIHARA, 2023 年 10月, ショートプレゼン+ポスター発表.
- T. Maeda, Y. Wakamoto, S. Kaneki, H. Fujikura, A. Kobayashi, "Characterization of Optical Properties and Bandgaps of ScxAl1−xN Epitaxially Grown on GaN Bulk Substrate by Sputtering Method", 14th International Conference on Nitride Semiconductors (ICNS 14), Fukuoka (Japan), November 2023, Oral.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件