【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM5391
利用課題名 / Title
高融点耐火金属炭化物コーティング技術の開発
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
高融点金属合金/ Refractory metal alloys, 耐環境・放射線合金/ Environment-resistant and radiation-resistant alloys, 各種表面処理等/ Various surface treatments
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
三井 正
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
西宮 ゆき
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-503:200kV電界放出形透過電子顕微鏡(JEM-2100F1)
NM-504:200kV電界放出形透過電子顕微鏡(JEM-2100F2)
NM-510:FIB加工装置(JIB-4000)
NM-513:ピックアップシステム
NM-516:TEM試料作製装置群
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
高高度旅客機(スペースプレーン)のスクラムジェットエンジンの内部は最大2327℃の超高温に達するとされ、新型の耐熱素材の開発が必要とされている。その候補としては炭化タンタル(融点3880℃)、炭化タングステン(同2870℃)等が挙げられるが、これらは粉末冶金法でしか作製できず、鋳造・鍛造が困難である。そこで、タンタル等の高融点耐火金属について金属の状態でエンジンや機体の部品を成型・加工し、その後、炭素を成膜したのち、電子ビーム溶接機で両者の界面を融解し、炭化物とする手法について開発を行う。作製した試料については、FIB法でサンプリングを行い、透過型電子顕微鏡を用いてEx-situ観察を行い、評価する。
実験 / Experimental
厚さ0.3 mmのタンタル薄板に、厚さ500 nmの炭素層をカーボンコーターで成膜したのち、電子ビーム溶接機を用いて界面を融解した。数種類の条件を試験して、最終的に最適化された条件は、点溶接モード、電流24 mA、 電圧20 kV、機器一次電流0.751 A、二次電流0.590 A、照射時間1.5秒である。タンタル薄板上の完全に融解した部分のごく近傍、炭素層が残っている個所について、FIB法でサンプリングを行い、透過型電子顕微鏡を用いて断面観察を行った。さらにSTEM-EDSモードによる元素分布、具体的には、タンタル基板中への炭素の拡散現象について観察した。
結果と考察 / Results and Discussion
得られた主な結果と考察を以下に示す。
Fig. 1は試料の断面STEM像で上側の黒い部分が炭素層である(コントラストが落ちている)。Fig. 2が炭素のK線のEDS像、Fig. 3がTaのM線のEDS像である。Fig. 1でタンタル層の上部に、灰色の層が形成されており、再結晶等の構造変化が強く示唆される領域が観察できる。そして、Fig. 2とFig. 3を比較すると、炭素とタンタルの分布が重なっている領域が存在しており (Fig. 4)、この部分に炭化タンタル層が形成されていることが予想される結果となった。その厚さは約20
nm程度であった。今後、この領域の制限視野回折像を観察し、結晶形について詳しく調べる予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 炭素-タンタル界面の断面STEM像
Fig. 2 炭素のK線のEDS像
Fig. 3 TaのM線のEDS像
Fig. 4 炭素とタンタルの元素分布の模式図
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件