【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0139
利用課題名 / Title
プラズマ照射処理等を施した各種材料の物性評価
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
発電関連材料, 非金属系構造材料, エレクトロセラミクス, 金属間化合物, 微粒子, 透過電子顕微鏡, 走査型顕微鏡, プラズマ処理,電子顕微鏡/ Electronic microscope,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,電子回折/ Electron diffraction,電子分光/ Electron spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山内 有二
所属名 / Affiliation
北海道大学大学院工学研究院 応用量子科学部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
越崎直人,千石海斗,光田太一,川崎祐奈,乙部賢太朗
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
鈴木啓太,柴山環樹,大久保賢二,大多亮,原田真吾
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
HK-202:オージェ電子分光装置
HK-101:ダブル球面収差補正走査透過型電子顕微鏡
HK-103:マルチビーム超高圧電子顕微鏡
HK-302:電界放出形走査電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
プラズマ照射処理などを金属などの各種材料に施し、ガス滞留挙動などの物性を評価し、表面形状、表面組成との相関について検討した。
本稿では、核融合炉用水素同位体貯蔵体ZrCoサブミクロン球状粒子の作成に関する研究について報告する。
実験 / Experimental
ZrH4(公称サイズ: 20-40 nm)、Co3O4 (公称サイズ: < 50 nm)の原料粒子を乳鉢・乳棒で粉砕・混合し、エタノール中に分散させて懸濁液を作製した。懸濁液に対し、スターラーまたは超音波で攪拌しながらNd:YAG レーザー(波長: 355 nm, パルス幅: 7 ns, 繰り返し周波数: 10 Hz)を照射して、反応合成によるZrCo サブミクロン球状粒子の作製を試みた。フルエンス、照射時間をパラメータとした。なお、本アブストラクトでは、スターラー攪拌の結果のみ記載する。レーザー照射した懸濁液と原料を分散させた懸濁液をそれぞれシリコンウェハーに滴下・乾燥させて、分析用試料を5つ作製した。これらの分析用試料を走査型電子顕微鏡(JAMP-9500F)、収差補正走査透過型電子顕微鏡(Titan3 G2 60-300)により分析した。
結果と考察 / Results and Discussion
生成粒子のSEM画像の一例をFig. 1に示す。画像の観察結果から、どの照射条件でもサブミクロン球状粒子は作製されていることがわかった。また、フルエンスが80 mJ pulse-1 cm-2のとき、生成過程の非球状粒子が多く見られ、フルエンスを大きくしていくと球状粒子の数が増加する傾向が確認された。
次にSTEM測定結果の一例とをFig. 2に示す。この測定では、中空のない球状粒子が多く観察された。また、球状粒子は主にZrによって組成されており、球状粒子の原子百分率はZrが23.6%であるのに対してCoが0.4%しか含まれていなかった。一部粒径が50 nm程度の小さい球状粒子ではZrとCoが1:1に近い値で混合されていたが、ほとんどの試料の球状粒子にZrが多く含まれていた。
サブミクロンサイズの球状粒子は作製できた一方で、ZrCoの球状粒子は作製することができなかった。その主な原因として一点目にZr原料の粒径がCo原料と比較して大きい点、二点目に原料のZrとCoが空間的に近い位置に分布していないという点が挙げられる。一点目の理由は粒径の大きなZr原料が溶融した場合、小さなCo原料が溶融・混合したとしても、Coの相対的な原子組成が小さくなるからである。Zr原料とCo原料のサイズの違いに関し、原料にSTEM測定で線分析を行った結果をFig. 3に示す。画像の濃い白色 であらわされるバルク状の粒子がZr原料、白色の薄い膜のような粒子がCo原料であることがわかる。この結果から、Zr原料のサイズがCo原料よりも大きいことがわかる。二点目の理由は原料のZrとCoが近接していなければ、ZrCoの反応合成が生じないためである。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1: 生成粒子のSEM画像 (左が原料粒子、右がレーザー照射後)
Fig. 2: レーザー照射後の生成粒子のSTEM像と成粒子の原子百分率
Fig. 4: 原料のSTEM画像(左)と画像内の矢印上における線分析の結果(右)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- A. Yoshizawa, Y. Yamauchi et al., "Deuterium permeation of low-activation vanadium alloys possible for reuse in a short time in fusion reactors", ISFNT-15 (Las Palmas de Gran Canaria, Spain), 2023/9/12.
- Y. Yamauchi, Y. Tanoue et al., "Deuterium and helium desorption/retention properties of low-activation vanadium alloys possible for reuse in a short time in fusion reactors", ICFRM-21 (Granada, Spain), 2023/10/23.
- A. Yoshizawa, Y. Yamauchi et al., "Deuterium permeation of low-activation vanadium alloys possible for reuse in a short time in fusion reactors", Submitted to Fusion Engineering and Design (2024).
- Y. Yamauchi, Y. Tanoue et al., "Deuterium and helium desorption/retention properties of low-activation vanadium alloys possible for reuse in a short time in fusion reactors", To be appeared in Nuclear Materials and Energy (2024).
- 光田太一, 山内有二 他, "核融合炉内水素同位体貯蔵システム用ジルコニウム-コバルトサブミクロン球状粒子の作製", プラズマ・核融合学会 第40回年会(盛岡), 令和5年11月27日.
- 千石海斗, 富岡智 他, "米穀に付着した石油臭原因物質に対する大気圧非平衡プラズマ照射の影響~GC/MSスペクトルを用いた評価~", プラズマ・核融合学会 第40回年会(盛岡), 令和5年11月29日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件