【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0103
利用課題名 / Title
高効率GaNマイクロLEDの研究
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,光デバイス/ Optical Device,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,光リソグラフィ/ Photolithgraphy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
王 学論
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
趙茜茜
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
増田 賢一,川又 彰夫
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-004:電界放出形走査電子顕微鏡[S4800_FE-SEM]
AT-011:i線露光装置
AT-045:触針式段差計
AT-082:化合物半導体エッチング装置(ICP-RIE)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
サイズ数μmの小さな半導体LEDを発光素子に用いたマイクロLEDディスプレイは次世代VR/ARスマートグラスのための高輝度・高解像度・省電力のディスプレイとして期待されている。GaNマイクロLEDは一般に誘導結合プラズマ(ICP)によりLEDウェハをエッチングすることで作製される。この場合、マイクロLEDの側面がプラズマに曝されることにより、非発光再結合中心として働く結晶欠陥が高密度に導入される。このため、マイクロLEDのサイズが小さくなると、界面欠陥に捕獲されるキャリアの割合が増加し、LEDの発光効率が著しく低下する。また、発光効率の低下は、VR/ARディスプレイに必要な10μm以下のサイズ領域において、特に顕著である。当グループでは、従来のICP技術の代わりに、半導体材料の超低損傷加工が可能な中性粒子ビームエッチング(Neutral Bema Etching: NBE)技術を用いたGaNマイクロLEDの作製技術の開発を進めている。マイクロLED作製プロセスの一部は産総研のARIM施設内の装置を利用して行った。
実験 / Experimental
まず、i線露光装置(AT-011を使用)を用いて、InGaN/GaN青色LEDウェハ上にサイズ3μm角~20μm角のSiO2マスクパターンを作製した。次に、上記SiO2パターンをマスクに用いて、中性粒子ビームエッチングによりマイクロLEDメサを形成した。また、比較のため、ICP法(AT-082を使用)による試料も作製した。作製したマイクロLEDメサの深さは段差計(AT-045を使用)により測定した。次に、i線露光(AT-011を使用)、メタル蒸着、リフトオフプロセスにより、メサの上部にp型電極、メサ間の平坦部にn型電極をそれぞれ形成した。作製したマイクロLEDチップをSi基板にボンディングし、発光特性の評価を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
図1に中性粒子ビーム法で作製した3.5μm角マイクロLEDの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す1)。この図から、c面に対して垂直な側面を持つLEDメサが形成されているのが分かる。図2に作製したマイクロLEDの発光効率(外部量子効率、EQE)の電流密度依存性を示す1)。中性粒子ビーム法で作製したマイクロLEDの発光効率はサイズの縮小とともにむしろ高くなっていることが分かった。この結果は、中性粒子ビーム法で作製したマイクロLEDにおいて、界面非発光欠陥は発光効率の低下を全く引き起こさないレベルまで低減されていることを示している。一方、ICP法で作製したデバイスの発光効率は中性ビーム試料に対して大きく低下しており、強い界面非発光再結合が存在していることが確認された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 中性粒子ビーム法で作製した3.5μm角GaN青色マイクロLEDのSEM写真(文献1)より転載)
図2 本研究で作製したマイクロLEDの外部量子効率の電流密度依存性(文献1)より転載)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献1) Xuelun Wang, Xixi Zhao, Tokio Takahashi, Daisuke Ohori, Seiji Samukawa, "3.5 x 3.5 μm2 GaN blue micro-light-emitting-diodes with negligible sidewall surface nonradiative recombination", Nat. Commun, 14, (2023) 7569. 謝辞本成果は東北大学の寒川誠二教授(現、台湾陽明交通大学)との共同研究として行ったものである。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件