利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1028

利用課題名 / Title

極薄膜成膜実験用石英ガラス基板の前処理検討

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

石英ガラス,エッチング,表面ラフネス,原子間力顕微鏡,走査プローブ顕微鏡/ Scanning probe microscope,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

本川 剛治

所属名 / Affiliation

キオクシア株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

飯田典子

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

太田悦子,水島彩子,三角啓

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-606:汎用平行平板RIE装置
UT-861:走査型プローブ顕微鏡
UT-850:形状・膜厚・電気特性評価装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本課題では、フォトマスク用石英ガラス基板のラフネス低減プロセス開発を目的としたサンプルの前処理工程を構築した。
この前処理工程では、サンプルの表面ラフネス値をフォトマスク上のパターンラフネスと同程度(0.6~0.8 nm,σ)にすることを目標とした。
所望の表面ラフネス値をもつサンプルを作製することで、別件で進めているラフネス低減プロセス開発を促進することを指向している。
その開発により、フォトマスクの更なる高品質化が可能である。なおフォトマスクはデバイス回路の原版となるものであり、
その高品質化はデバイスの省エネルギー化に寄与することが期待される。

実験 / Experimental

予め小片化した石英ガラスサンプル(縦15 mm,横30 mm,厚み6.4 mm)を用意し、実験は下記の手順で行った。

1)サンプルの初期表面ラフネスを原子間力顕微鏡で測定(測定幅1 μm)
2)サンプルをフッ素系混合ガスプラズマを用いて、表面をエッチング
3)サンプルの表面ラフネスを原子間力顕微鏡で測定(測定条件は手順1)と同じ)

手順2)においては、手順3)の結果をフィードバックして、エッチング条件を調整した。

結果と考察 / Results and Discussion

実験の結果、下記のエッチング条件で前処理を実施することで表面ラフネス(0.7 nm,σ)程度のサンプルが作製できることが解った。

 CF4/O2 = 48/12 sccm, 36 Pa, 150 W, 16 min {SAMCO社製RIE-10NR}

 条件の調整においては、エッチング量が多ければ表面ラフネスも増加すると仮定し、レート向上の為にCF4ガスにO2ガスを20%添加しエッチング中のF活性種の最大化を目指した。(参考文献1) 実験をスムーズに進めるために石英ガラスと同じ組成である4 in. Siウエハー上の熱酸化膜を使用し、サンプル表面の炭素系コンタミの代用としてレジストを使用してレートの検証をした。その結果、熱酸化膜のレートは2倍となり、レジストのレートは3倍強となった。(Figure 1)
 このエッチング条件における表面ラフネス変化のプロセス時間依存性(8 min./16 min.)を評価した。リファレンスとして4 in. Siウエハー上の熱酸化膜も同条件で評価を行った。当初の予想通りエッチング量の増大に伴い表面ラフネス値が増大する結果となった。さらに、石英ガラスの方が熱酸化膜よりも表面ラフネス値が大きくなることが解った。(Figure 2)それぞれの材料におけるラフネス増加量をモデル試算した結果をFigure 2中に鎖線で表記した。このモデルでは、サンプルを小領域に分割して、各々の領域でのエッチングのバラツキ量を一様乱数により決定する。このモデルにおける変数は、エッチングのバラツキ量の単位時間当たりの最大値で、石英ガラスでは1.4 nm、熱酸化膜では0.4 nmで最適値となった。
 このエッチング条件を用いて作製したサンプル8検体の表面ラフネスを比較した。(Figure 3) この比較により、これらのサンプル間においてレンジで0.1 nm程度のバラツキがあることが判明した。このバラツキの要因調査の為に、同一サンプルを用いて原子間力顕微鏡による測定を8日間で10回行った。その結果、同一サンプルの測定においてもラフネス値の変動があることが解った。(Figure 4)4日目の結果では、測定開始当初は大きめのラフネス値が出ていたが、AFM探針の取付取外し作業を複数回実施した後に、元の探針に戻すと、正常値になった。しかし、3日目、8日目の結果では、終始正常値に戻ることはなかった。これはチャージアップなどの外乱因子により、レンジで0.1 nm程度のバラツキが発生し得ることを示唆している。そのような状況を考慮し、今回構築した前処理工程の安定性に特段の問題はないと判断した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations













その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

特記事項:今回使用した基板は、フォトマスクに使用される基板で”石英ガラス”基板と表記したが、材料的には非晶質シリカに分類される。
参考文献1:C. J. Mogab; A. C. Adams; D. L. Flamm ”Plasma etching of Si and SiO2—The effect of oxygen additions to CF4 plasmas” J. Appl. Phys. 49, 3796–3803 (1978)
謝辞:機器利用に際し、スタッフの皆さんにお世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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