利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22GA0035

利用課題名 / Title

EBリソグラフィ用薄膜基板に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

香川大学 / Kagawa Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リソグラフィ・露光・描画装置,フォトリソグラフィ,電子線リソグラフィ,デバイス


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

長岡 史郎

所属名 / Affiliation

香川高等専門学校

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

GA-004:デュアルイオンビ-ムスパッタ装置
GA-005:触針式表面形状測定器
GA-009:デジタルマイクロスコープ
GA-012:エリプソメータ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

電子線直接描画(EBリソグラフィ)では、電子線の後方散乱により解像度が低下する。ナノメータサイズの高解像度を実現するためには、この後方散乱を排除する必要がある。そこで、基板には、耐薬品性が高く、熱的に安定な窒化シリコン(Si3N4)薄膜を薄膜基板材料に選択した。Si3N4薄膜の薄膜基板化は、Si3N4薄膜を単結晶シリコン(Si)基板上に作製し、Siを異方性エッチングにより太鼓の胴のように加工することでSi3N4薄膜を空中に支持することで実現する方法を提案し、その実現可能性を検討した。その結果、約50 µmと面積は狭いが目的の構造を実現、薄膜基板が作製可能なことがわかった。

実験 / Experimental

Si3N4薄膜の成膜は、汎用性の高いスパッタ法を選択した。装置は通常のスパッタ装置より高真空環境下で成膜が可能なデュアルイオンビームスパッタ装置(ハシノテック社製、10W-IBS)を用い、純度4N5のSi3N4の焼結体を薄膜作製の原料物質(ターゲット)に用いて成膜した。Si3N4薄膜とSiの異方性エッチングにおけるエッチング選択比は、1000以上あることを確認しているので、膜厚はできるだけ薄くすることを考え、約100 nmと200 nmとした。まず、シリコン基板両面にSi3N4薄膜を作製し、それをCF4によるドライエッチングでシリコンの異方性エッチング用の窓を作製した。Siの異方性エッチングは、KOH33%の水溶液、温度40℃で行い、Si3N4薄膜を空中に支持する条件と問題点について調べた。

結果と考察 / Results and Discussion

Si3N4薄膜のドライエッチングは、バレル型のレジスト灰化装置を用いた。異方性エッチングでは、長時間のエッチングでも水分蒸発による薬液濃度が変化しないよう装置構成に配慮した。Si3N4薄膜下部のSiを全てエッチング除去するため、エッチングが[110]方向に進行するように配慮した。Fig.1にその結果を示す。(a)はエッチング途中の写真である。Si3N4薄膜下のSiがエッチング除去されていることがわかる。この形状では、エッチングが長時間となり、Si3N4薄膜のエッチングの進行により機械的強度が低下したため破れてしまった。そこでエッチング時間の短縮と広い面積を実現出来るようにするためのエッチング窓の形状依存性について調べた。その結果の例を(b)に示す。平坦な部分は50 µm程度ではあるが、斜め方向のエッチング窓によりエッチングが等方的に近い状況で進行し、Si3N4薄膜下部のSiが全て溶解除去できており、Si3N4薄膜も周囲にSiの支持体が残存する構造になっているため、機械的な強度が保てていることがわかる。これらの結果から、エッチング窓形状を最適化することで、広い面積の薄膜Si3N4基板を実現できる可能性があることがわかった。Fig.2は高倍率デジタルマイクロスコープ(HIROX社製 KH-7700)観察によるエッチング段差の評価結果である。広い面積の段差を容易に観察、測定できた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1,Fig.2


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

実験を進めるのに際し、成膜および加工に関し理論的アドバイスを頂いた下川房男先生、成膜実験のご指導を頂いた支援員の皆様に感謝いたします。
科研費2 2 K 1 2 3 0 8


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. S. Nagaoka, et al., “Feasibility Study of a Simplified Nanotech Platform and Device Evaluation ”, Malaysia-Japan International Conference on Nanoscience, Nanotechnology and Nanoengineering 2023, IL-1, Port Dickson, Malaysia, 24th -26th Feb., 2023
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る