利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22IT0052

利用課題名 / Title

表面プラズモンポラリトンと発光性ナノ結晶間のエネルギー移動

利用した実施機関 / Support Institute

東京工業大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リソグラフィ


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

大曲 駿

所属名 / Affiliation

東京工業大学物質理工学院

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

IT-001:電子ビーム露光装置
IT-002:電子ビーム露光データ加工ソフトウェア
IT-006:走査型電子顕微鏡
IT-012:リアクテブイオンエッチング装置
IT-024:触針式段差計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

物質間のエネルギー移動は光合成やエネルギーデバイスにおいて重要な役割を果たす。このエネルギー移動の効率を増強することは、人工光合成や高性能エネルギーデバイスの創出において必要不可欠である。これまで、局在表面プラズモン共鳴によるエネルギー移動の増幅が報告されてきているが、本研究では新しいアプローチとして、ナノホールアレイを有する金基盤を用いて表面プラズモンポラリトンを利用する。本報告では、ナノホールアレイおけるナノファイバー中のエネルギー移動の表面プラズモンポラリトンによる増幅とその機構解明を行う。

実験 / Experimental

本支援事業に行った実験は以下の通りである:
直径250 nm、深さ40 nmのナノホール、六方配列と正方配置(ナノホール間距離500nm)の金基板を電子ビームリソグラフィによって作成した。
実験条件は以下の通りである:
・基板:ガラス基板に金薄膜を製膜した基板
・電子レジスト:厚さ1000 nmのZEP 520A(厚さ500nmを二度塗り)をスピンコート、プリベーク、冷却
・露光条件:EB描画装置JBX6300SJ、100 kV、200 pA、Dose量250 μC/cm2
・現像とリンス:キシレン60 s、IPA 40 s、N2ブロー
 また、自機関で行った実験は以下の通りである:
・エッチング:Samco RIE-10NR、CF4による反応性イオンエッチング
・リフトオフ:DMACとAcetoneでそれぞれ130℃ずつ
 また、作成した基板に対してPMMA薄膜をスピンコートし、C10-1,3,5-トリス[フェニルイソオキサゾル]ベンゼン(以降C10、Fig.1)から構成された低分子ゲルを基板に乗せ、蛍光顕微鏡によってナノスケールの発光の様子を観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

 得られた金ナノホールアレイ基板の原子間力顕微鏡像をFig.2に示す。この結果より、多少のばらつきはあるものの、概ね直径250nm、深さ40nm、ナノホール間距離500nmの六方配置と正方配置の金ナノホールアレイ基板の作成に成功した。
 ここでは、蛍光顕微鏡観察ではプラズモンが励起されない405nmのレーザーを用いてナノファイバーを励起し、これを六方配列の基板のナノホールアレイ部位とそのパターニングの無い部位で行った。励起光と金基板の関係性で考えた場合、プラズモンは520nm以降の励起光で誘起され、570nmでピークとなる。つまり、405nmではプラズモンが励起されないため、ナノホールアレイ部位とそのパターニングの無い部位におけるナノファイバーの発光物性に違いは無いはずである。確かに、Fig.3に示すように、ほとんどの個所では違いが見られなかった。一方で、一部のナノホールアレイのプラズモンのスペクトルピークである570nmと合致した発光増強を示した箇所も見つかった。これは、ナノホールアレイのプラズモンが520nm以降であれば生じることに由来し、ナノファイバーの発光波長がそこに重なっているために、プラズモンも誘起されたことを示唆している。なお、正方配列でも同様の検討を行い、発光増強に関しては六方配列と大きな差は無いことが分かった。
  今後の方針としては、正方配列と六方配列の金ナノホールアレイ基板において、偏光依存性を検討する。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1  C10の構造式
Fig.2  金ナノホールアレイ基板の原子完了顕微鏡像。左:六方配列、右:正方配列
Fig.3  六方配列ナノホール金基板上のナノファイバーの発光スペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・科研費挑戦的研究(萌芽)「Study and control of long-range exciton transport in organic and hybrid nanostructures for future exciton-based electronics」、課題番号21K18927
・共同研究者:鈴木左文先生 田中大基先生 バッハ・マーティン先生 
・技術代行の梅本高明様(東京工業大学ナノテクノロジープラットフォーム)に心より感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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