【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.23】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22TT0019
利用課題名 / Title
中赤外超短光パルス分光装置の開発
利用した実施機関 / Support Institute
豊田工業大学 / Toyota Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
EB,メタマテリアルメタマテリアル/ Metamaterial
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
水谷 五郎
所属名 / Affiliation
北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス系
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
趙越
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TT-004:電子ビーム描画装置
TT-008:洗浄ドラフト一式
TT-013:ダイシング装置
TT-015:デジタルマイクロスコープ群
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
中赤外超短パルスを用いた場合、中赤外パルスとチャープパルスにおける三次の非線形プロセスを用いて可視光に波長変換をすることが可能である。四光波差周波発生は、気体やシリコン薄膜を用いるため、固体結晶による和周波発生などにおける位相整合条件の制限がなく、固体よりもはるかに小さい分散を持っている。このことより、帯域に制限のない中赤外のアップコンバージョンを実現し、非線形結晶の代わりに中赤外分光イメージングに利用可能である。しかし、四光波差周波発生の効率は和周波光発生に比べて4桁以上低く、同じ励起条件では、イメージングを行うための強度が十分ではないことが課題である。そこで、ナノ構造体を用い、プラズモン共鳴を利用した高強度場を生成することより、四光波差周波発生の強度を向上することができる。本課題の目的はナノ構造体(ナノアンテナ)を設計・試作し、それを用いて従来の和周波発生の代わりに四光波差周波発生を利用してアップコンバージョンを行う。具体的に、中心波長790 nmのチタンサファイアレーザーを共鳴増強できるナノ構造体の設計・作成、あるいは、波長帯域400-500 nmの四光波差周波を共鳴増強できるナノ構造体の設計・作成、またはその両方を共鳴増強できるナノ構造体の設計・作成する。
実験 / Experimental
金属ナノ構造によるプラズモン共鳴に示す共鳴バンドのスペクトルはナノ構造のサイズ、形状、配列のパターン、構造間の距離などに敏感する。そのため、実際に利用する光源の波長バンドに合わしたプラズモン共鳴バンドを有するナノ構造パターンを設計し作製した。ナノ粒子のサイズが大きくなるにつれ、吸収バンドはレッドシフトを生じることが知られている。例えば、三角形の板状の銀ナノ粒子の直径と厚さを制御することで、可視域から近赤外領域にわたったプラズモン共鳴バンドをコントロールすることができる。その三角形の辺の長さと厚みの比を大きくすることで、プラズモン共鳴バンドは長波長側にシフトし、バンド幅が広くなる。また、横幅150 nm、厚み40 nmの六角形の金ナノプレートでは、半値全幅で700-900 nmのプラズモン共鳴バンドを示している。このことを利用して、石英基板上に成膜したシリコン薄膜に最適なナノプレートパターンを作製し、実際に利用するチタンサファイアレーザーの光電場を増強することで四光波差周波の発生効率を最大化に試した。
結果と考察 / Results and Discussion
本研究で計画しているナノ構造体では、石英基板上に成膜したシリコン薄膜の上におけるナノ構造体に40 nm厚の金属蒸着を行う必要がある。試作したナノ構造体を評価するため、分光システムを用いてナノ構造体の透過率スペクトルを計測した。また、目的とするチタンサファイアレーザーの波長帯域にプラズモン共鳴を最大化するように試作した。実際に試作したナノ構造体を利用し、中赤外超短パルスとチタンサファイアレーザーを用いて四光波差周波発生が観察されたが、石英基板とシリコン薄膜の界面による非線形光学が観察された。このことは、目的である中赤外分光イメージングに不利である。この問題を解決するため、今後、石英基板上にシリコン薄膜を成膜する代わりに、シリコン薄膜そのものに変えてナノ構造体に試作する予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件