利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NM0001

利用課題名 / Title

希土類ドープ窒化ガリウムへのフォトニック結晶構造形成

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

膜加工・エッチング/Film processing and Etching,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,CVD,EB,ナノフォトニクスデバイス,フォトニクス


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

佐藤 真一郎

所属名 / Affiliation

量子科学技術研究開発機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-633:SiO2プラズマCVD装置 [PD-220NL]
NM-614:CCP-RIE装置 [RIE-200NL]
NM-618:原子層エッチング装置 [PlasmaPro 100 ALE]
NM-609:電子銃型蒸着装置 [ADS-E86]
NM-629:ダイシングソー [DAD322]


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

窒化ガリウム(GaN)半導体にドープされたネオジム(Nd)は、線幅の狭い安定した近赤外の発光を示すため、室温動作する単一光子源への応用が期待できるが、発光レートの改善が課題となる。本研究では、イオン注入したNdの自発放出レートをフォトニック結晶(PhC)との光学カップリングにより向上させる試みを行っており、室温での単一希土類からの単一光子発生の観測を目指している。

実験 / Experimental

シリコン (Si) 基板上 GaN (300 nmt) に150 nmφのホールを形成したイオン注入マスクを形成し、その上からNdをイオン注入(100 keV, 1×1014 cm-2)することで、150nmφのNd注入領域を形成した。その後、 SiO2 ハードマスクを約 100 nm 積層し、高速熱処理(1200℃, 2 min)によりNdを活性化させた。続いて、電子ビーム描画装置を用いて形成したPhC L3共振器のパターンを150 nmφNd注入領域と重ね合わせ、RIE ドライエッチング(CHF3, 3.0 Pa, 100 W, 5min)によってSiO2層に転写し、さらにICPドライエッチング(BCl3:Cl2=1:4, 0.5 Pa, 50 W, 3.5 min)によって GaNに転写した。最後に、RIEドライエッチング(SF6, 5.0 Pa, 50 W, 25 min)によってSi基板をエッチングし、エアギャップ構造を形成した。得られたL3共振器中央部に存在するNdの室温での発光スペクトルを、通常のNd発光スペクトルと比較した。また、発光遷移寿命の比較を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

イオン注入したNdからは、4f殻内遷移発光に起因する916 nm, 934 nm, 943 nmのピークが現れたが、L3共振器と光学的に結合したNdからは、916 nmピークのみが顕著に増加し、他のピークは相対的に減少した。また、発光遷移寿命が有意に低下していることがわかった。これらはパーセル効果による自発放出レート向上によるものと考えられる。共振器Q値は400程度であり、通常のNd発光と比較して、最大で26倍の発光強度増強が得られた。今後は、電磁界シミュレーションを用いてよりQ値の高い共振器構造を設計し、発光強度のさらなる増強(自発発光レートの向上)と、単一Ndからの単一光子発生の観測を行う。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. S.-i. Sato and T. Oto, “Purcell Enhancement of Near Infrared Photoluminescence from Nd-doped GaN Photonic Crystal L3 Cavity,” Defects in Solids for Quantum Technologies, June 17th, 2022.
  2. 佐藤真一郎、”量子ビームを用いた半導体中の機能性欠陥の研究”、京都大学大学院工学研究科附属量子理工学教育研究センター 第23 回公開シンポジウム、2022年10月21日(金)(招待講演)
  3. S.-i. Sato, T. Oto, S. Li, M. Deki, T. Nishimura, T. Ohshima, H. Watanabe, S. Nitta, Y. Honda, H. Amano, B. C. Gibson, and A. D. Greentree, “Lanthanoid Implanted GaN with Enhanced Photon Emission for Nanophotonic Applications,” The 32nd Annual Meeting of MRS-J, Dec. 5th, 2022 (Invited).
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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