【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.18】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22BA0004
利用課題名 / Title
島状成長TiN薄膜の観察と条件探査
利用した実施機関 / Support Institute
筑波大学 / Tsukuba Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
走査プローブ顕微鏡/Scanning probe microscopy,電子分光,スパッタリング/Sputtering
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
片桐 創一
所属名 / Affiliation
筑波大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
小倉 暁雄,李 恩,野木 広光
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
谷川 俊太郎,岡野 彩子,俵 妙
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
BA-002:スパッタリング装置
BA-006:走査型プローブ顕微鏡
BA-014:触針式表面段差計
BA-015:X線光電子分光装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
真空中の絶縁碍子に直流高電圧を通電する場合、碍子面上の放電により機器を損傷する危険性が高まる。絶縁破壊は主に沿面で起こり、2次電子なだれがその引き金となっていることが知られている[1]。碍子に用いるアルミナの2次電子イールド(Secondary electron emission yield: SEE yield)は7~8と高く、2次電子なだれの原因の1つとなっている。その対策として、アルミナにTiNを成膜することで2次電子イールドを低減できることが報告されている[2]。 本研究では、各種基板上に2次電子イールドを低減する膜を成長させ、様々な膜形状による放電特性の評価を行い、将来の高加速SEMに向けた絶縁ガイシの知見を得ることを目的とし、実績のあるTiNをアルミナ基板に堆積し、2次電子イールドの低減と絶縁性が両立する条件を探査する。
実験 / Experimental
直流マグネトロンスパッタ法を用いてTiNの膜厚を変えて堆積し、2次電子イールドを測定する。測定サンプルの基板にはアルミナ(99.95 %)を用いた。スパッタリング装置によるTiNの堆積は、ターゲットにTi(99.99 %)を用い、DC Power: 250 W, Ar流量: 24.0 sccm, N2流量: 2.0 sccmとし、膜厚は堆積時間によりコントロールした。2次電子イールドは、高エネルギー加速器研究機構の山本康史先生開発の装置を使用し測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig. 1に、アルミナ基板に堆積したTiNの2次電子イールド測定の結果を示す。アルミナ基板は、加速電圧 0.8 kV で二次電子イールドが最大値 7.4 となり、文献値と一致した。TiNを堆積した場合、膜厚を大きくするほど二次電子イールドは減少する。1.28 nm 以上のサンプルでは二次電子イールドの最大値は2程度となり、アルミナの1/3以下に減少し十分に効果があることが確認できた。今後、TiNを堆積したアルミナ基板の表面抵抗率等を測定し絶縁特性と両立する条件を探査する。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 SEE yield of TiN thin film on alumina substrates.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
【謝辞】2次電子イールドの測定は高エネルギー加速器研究機構の山本康史先生開発の装置を利用させていただきました。お忙しい中ご協力くださり, 感謝申し上げます。また、筑波大学ARIMスタッフの谷川俊太郎様、岡野彩子様、俵妙様には度々有益なご助言を頂きました。深く感謝申し上げます。
【参考文献】[1] R. Latham, “High Voltage Vacuum Insulation”, Academic Press,
1995
[2] Suharyanto et al. “Secondary electron emission of TiN-coated
alumina ceramics”, Vacuum, 81, 6, pp.799-802, 2007
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 角谷凌太郎, 小倉暁雄, 野木広光, 姚遠昭, 片桐創一, "TiN膜付アルミナ碍子の耐電圧特性の向上に関する研究" 応用物理学会 学術講演, 令和5年3月17日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件