【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.04.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22TU0072
利用課題名 / Title
カーボンナノチューブ1本レベルの熱動態計測のためのMEMSヒータ作製 / Fabrication of a MEMS heater for the measurement of thermal characteristics of individual carbon nanotubes
利用した実施機関 / Support Institute
東北大学 / Tohoku Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
表面・界面・粒界制御, 資源代替技術, 未利用資源の有効利用技術, ウエアラブルデバイス, 原子層薄膜, ナノカーボン, ナノ粒子, ナノチューブ, ナノワイヤー・ナノファイバー, 異種材料接着・接合技術,リソグラフィ/Lithography,蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,MEMSデバイス,熱電材料
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
平原 佳織
所属名 / Affiliation
大阪大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
川瀬匠,山森壮馬
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
戸津健太郎,森山雅昭
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
TU-052:アクテス スピンコータ#1
TU-202:DeepRIE装置#2
TU-002:有機ドラフトチャンバー
TU-003:リン酸槽
TU-055:クリーンオーブン
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
カーボンナノチューブ(CNT)からなるフレキシブル薄膜系の熱電変換性能を本質的に理解するためには、CNT1本レベルの特性およびCNT同士のなす単一ナノ界面での熱動態を把握する必要がある。そこで、電子顕微鏡観察下でCNT1本および単一ナノ界面の形態を評価しつつ、その一端を加熱しながら同時に特性計測ができる技術の確立を目指している。本課題では、昨年度に引き続き、MEMS技術を用いてヒータを搭載した片持ち梁状プローブを作製した。
実験 / Experimental
まず、ヒータ配線、梁状プローブ、支持基板の3パターンのポジ型フォトマスクを、マスクレスアライナを用いて作成した。昨年度は25 mm角あたり8個のMEMSヒータを配置したが、各工程での作業効率を考慮した上で、36mm角の基板に16個のヒータを配置することとした。実際の作製にはデバイス層の厚さが10-15µmのSilicon on Insulator (SOI)基板を用いる。あらかじめ、ウェット酸化装置を用いて6インチ基板のデバイス層上に厚さ200nmの酸化膜を形成し、ダイサを用いて使用するサイズに切り出した。この基板上に、芝浦スパッタ装置を用いて基板全面にタンタル/白金膜を製膜した。フォトレジスト(PR)(TCIR-ZR8800-96 CP)を塗布し、両面アライナ(SUSS MA6)を用いて配線パターンを露光、現像した後、イオンミリング装置(伯東イオンミリング20IBE-C)を用いてタンタル/白金膜をミリングすることにより、基板上に金属配線を形成した。その後、同じPRを再度塗布して梁状プローブのパターンを形成した後、深堀エッチング装置(Deep-RIE, 住友精密MUC-21)を用いて熱酸化膜およびSiデバイス層10μmをエッチング加工し、梁に支持された島状のヒータを作製した。さらに、基板裏面にPR(PMER-P-LA900)を塗布し、ハンドル層用のマスクおよび両面アライナ露光装置を用いたパターン描画を行った後、深堀エッチング装置を用いてハンドル層をエッチング加工し、ヒータおよび梁の部分を浮かせる構造とした。作製したデバイスは、利用者の研究室所有の電子顕微鏡内で動作評価を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
マスクパターンのデザインを見直すことにより、1工程で作製できるヒータ個数を2倍にしつつ、レジストのスピンコートムラなどによる作製不良も回避できるようになった。電子顕微鏡内での使用を想定して試料担持部を薄片化するプロセスでのエッチング不良が問題となっていたが、本年度改良した工程で作製したプローブの先端であれば観察に大きな支障がないことを確認した。結果として、歩留まりを顕著に向上させることができた。また、昨年度の試作ではヒータ加熱時にSiデバイス層への電流リークが見られ、電子顕微鏡内でヒータ上に担持するCNT試料の損傷・消失が見られたが、本年度作製したデバイスでは、SOI基板上へあらかじめ熱酸化膜を形成し、洗浄プロセスを見直して残留レジストを低減することにより、この問題が回避できたことを確認した。さらに、ヒータ加熱用に配線した白金線に実際に通電した結果、昇温が認められ、白金線の抵抗計測より500℃程度まで加熱できることを確認した。実際に作製したヒータプローブのエッジにCNTを担持して電子顕微鏡内で加熱したときのCNT上の温度分布をモニタすると、ヒータ電流の変化に応じて一様に温度が変化することを確認できた。約230℃のバンドル状CNTに、マニピュレータを用いて別のCNTを接触させることで、ナノスケールの界面における熱の逃げが生じているときの温度分布の可視化や逃げている熱の大きさの見積もりに成功し、ナノスケールの物質のなす界面における熱動態の理解に貢献できる見通しを得た。ただし、MEMSヒータとCNTの間には大きな熱的・電気的接触抵抗が存在し、その解決が今後の課題である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本課題の実施には、東北大学マイクロシステム融合研究開発センター戸津健太郎先生、森山雅昭先生らから技術支援、指導を受けた。また、JST CREST (JPMJCR1715, フレキシブルマテリアルのナノ界面熱動態の解明と制御) の支援を受けた。
利用した主な設備(欄不足分)
TU-159
TU-255
TU-060
TU-061
TU-004
TU-302
TU-101
TU-215
TU-308
TU-058
TU-307
TU-056
TU-201
TU-054
TU-311
TU-008
TU-211
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- K. Hirahara, S. Nagahama, T. Kawase, H. Hamasaki, Evaluation of Transport Properties at a Single Nanocontact of a Carbon Nanotube with In Situ Transmission Electron Microscopy, 12th A3 Symposium on Emerging Materials, Tokyo, Japan, Nov, 2022.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件