利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.10】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TU0066

利用課題名 / Title

ボールSAWセンサの社会実装 / Social implementation of ball SAW sensors

利用した実施機関 / Support Institute

東北大学 / Tohoku Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

球面スパッタリング, 球面マスクレス露光, ガスクロマトグラフ, 微量水分計, 弾性表面波素子, ボールSAWセンサ, 水晶, 感応膜, アモルファスシリカ, 有機薄膜,スパッタリング/Sputtering,リソグラフィ/Lithography,MEMSデバイス/ MEMS device,IoTセンサ/ IoT sensor,バイオセンサ/ Biosensor,におい・ガスセンサ/ Odor/gas sensor


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

赤尾 慎吾

所属名 / Affiliation

ボールウェーブ株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

竹田宣生, 大泉透, 福士秀幸, 岡野達広, 田中智樹, 菅原真希,

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

戸津健太郎, 森山雅昭, 渡辺拓

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TU-166:球面成膜用スパッタ装置
TU-068:球面露光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ポータブル・ガスクロマトグラフ[1]の検出器として、東北大学の設備を利用して、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を感応膜としたボールSAWセンサを製作した。

実験 / Experimental

直径3.3 mmの水晶球にフォトレジストを平均膜厚2.9 µmで塗布し、球面露光装置(TU-068 )にてハーフピッチ11 µmの櫛型パターンをレーザー光源パワーファクタ40%で露光した後、球面成膜用スパッタ装置(TU-166 )にてクロム薄膜を5 mTorrにて成膜し、リフトオフ法により櫛型電極を形成することで、ボールSAW素子を製作した。この素子の表面に軸外スピンコート法によりPDMS溶液を3000 rpmで塗布することでPDMS感応膜を形成し、ガスクロマトグラフ用のボールSAWセンサとした。

結果と考察 / Results and Discussion

製作したボールSAWセンサの外観写真をFig. 1(a)に、櫛型電極部写真を同図(b)に示す。球面露光装置と球面成膜用スパッタ装置により、直径3.3 mm水晶球の表面にハーフピッチ11 µmの櫛型電極が形成できていることがわかる。
製作したボールSAWセンサの弾性表面波(Surface Acoustic Wave: SAW)の周波数150 MHzにおける伝搬特性をFig. 2に示す。同図(a)がPDMS感応膜成膜前の特性で、SAWの減衰率が47.10 dB/mであったのに対して、同図(b)に示したPDMS感応膜成膜後は107.01 dB/mに増加しており、適切な膜厚の感応膜が形成されていると考えられる。
このボールSAWセンサをポータブル・ガスクロマトグラフの検出器として使用し、C6からC9までの直鎖型炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンとmキシレンを所定の濃度で混合したガスのクロマトグラムを測定したのがFig.3である。すべてのガス成分が分離検出されており、検出感度もサブppmレベルと推定されることから、ポータブル・ガスクロマトグラフの検出器として十分に機能していることがわかる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 製作したボールSAWセンサ



Fig.2 製作したボールSAWセンサのSAW伝搬特性



Fig.3 8種類の混合ガスのクロマトグラム


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] Japanese Journal of Applied Physics 61, SG1051 (2022)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. ”日本のベンチャーが世界最小ガス分析装置、目指すは「ドローンの鼻」”,日経クロステック, 令和5年1月11日.
  2. 竹田宣生, “球面マスクレス露光装置によるボールSAWセンサの製造と超小型ボールSAWガスクロマトグラフ” 第33回マイクロシステム融合研究会, 令和5年3月24日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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