【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.04.19】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22NI0202
利用課題名 / Title
酸化チタンーグラフェン複合体光触媒の耐久性に関する研究
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
酸化チタン, グラフェン,電子顕微鏡/Electron microscopy,赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy,ナノフォトニクスデバイス,資源使用量低減技術
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
本田 光裕
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NI-106:グラフェン・カーボンナノチューブ合成装置
NI-002:特型走査電子顕微鏡装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
酸化チタン(TiO2)光触媒は、紫外光吸収により空気や水の浄化・脱臭・抗菌や殺菌効果を示す固体材料である。光触媒効果は、光吸収により生じる励起電子と正孔に起因することから、励起電子・正孔の再結合によるエネルギー失活を低減することができれば、光触媒効果の高効率化が可能となる。励起電子・正孔の再結合の抑制を目的として酸化チタン表面へのグラフェンの担持が行われており、光触媒作用の増強が事実報告されているものの、増強メカニズムや耐久性に関する知見は得られていない。本研究の目的は、酸化チタンの薄膜構造とグラフェンの積層構造を利用し、そのメカニズムや耐久性を検証することである。
実験 / Experimental
アナターゼ型酸化チタン薄膜は、マグネトロンスパッタリング法により作製された。チタン金属をターゲットとして使用し、全圧1Pa、アルゴン・酸素分圧が それぞれ0.8Pa・0.2Paにて4時間成膜を行った。グラフェンは、グラフェン・カーボンナノチューブ合成装置(NI-106)を利用して作製された。グラフェン(Gr)の被覆率や欠損状態を、合成時間の変化やポストアニールによって制御した。炭素欠損フリー全面被覆Gr、炭素欠損フリー低密度Gr、炭素欠損有り全面被覆Grの3種類を準備し、ラマン分光計測及び走査型電子顕微鏡観察によってグラフェンの酸化チタン表面への被覆を確認した。光触媒活性と耐久性の評価のため、試料へ紫外光(キセノンランプ)を照射し、光触媒作用によるメチレンブルーの退色速度を計測した。光触媒反応計測の後に、酸化チタン上のグラフェンの被覆率や欠損状態をラマン分光計測によって観察した。
結果と考察 / Results and Discussion
アナターゼ型酸化チタン薄膜上へ転写したグラフェン(TiO2-Gr)のラマン分光計測より、銅箔触媒上に合成されたグラフェンがそのままの被覆率や欠陥状態で酸化チタン薄膜上へ転写されていることが確認された。全面被覆Gr、全面被覆欠陥有りGr、低密度Grの3種類のいずれの場合においても、光触媒活性の低下が観察された。ラマン分光計測結果によると、炭素欠損フリーGrのエッジに炭素欠損由来のDバンドが観察され、光触媒活性低下の一因が光触媒効果による欠損誘起にあると推察される。さらに、炭素欠損を含む全面被覆Grにおいては、被覆率の著しい減少がみられたことから、グラフェンの剥離も活性低下の一因となっていると考えられる。酸化チタン表面の超親水化により水が酸化チタンとGrの境界に入り込み、洗い流されたと予想される。これらの観察結果より、TiO2-Gr光触媒においては、紫外光照射によるGrのエッジからの分解と剥離によって活性が低下することが分かった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 神田優、LEE JIYONG、Rahul Deeliprao Deshmukh、本田光裕、市川洋、「グラフェンーTiO2の耐久性」、2023年第70回応用物理学会春季学術講演会
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件