利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0260

利用課題名 / Title

TUCAN実験におけるUCNスピンフィルターの開発

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

薄膜,形状・形態観察,中性子,偏極解析,X線回折/X-ray diffraction,原子薄膜/ Atomic thin film


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

北口 雅暁

所属名 / Affiliation

名古屋大学大学院理学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

赤塚浩明

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

加藤剛志

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-203:薄膜X線回折装置
NU-220:小型微細形状測定機


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

中性子の電気双極子能率は物理法則の時間反転対称性を破り、素粒子標準理論を超える物理法則の探索に感度がある。実際の実験では電場中での中性子のスピン歳差回転を測定する。中性子のスピン解析子として磁性体薄膜を用いる。飽和磁化した鉄薄膜は中性子スピンを選択的に反射・透過する。膜厚が薄いほど弱い外部磁場で磁化させることができ、実験体系を容易にできる。一方で膜厚が薄いとトンネル効果によりスピン解析能力が低下する。最適な膜厚を求める必要がある。

実験 / Experimental

異なる基板上に異なる膜厚の鉄薄膜をイオンビームスパッタ装置によって作成する。実際の膜厚を段差計やX線反射率計を用いて測定する。中性子に対する偏極解析能力は偏極中性子ビームを用いて行う。

結果と考察 / Results and Discussion

シリコンウエハとアルミ箔を基板とし、厚さ30 nm、50 nm、90 nmの鉄薄膜をスパッタした試料を作成した。Fig. 1はシリコン基板50 nm鉄薄膜の試料の、X線反射率測定の結果である。解析から、鉄50.4 nmの上に酸化層(Fe2O3)2.6 nmがあることがわかった。低エネルギー中性子ビームを用いた中性子反射率測定によって、外場8 mTの印加で中性子の偏極解析に十分な磁化を得ることがわかった。実際に電気双極子能率探索実験で用いるエネルギー領域の中性子に対して、偏極解析能は約89%に達することを確かめた。これは、従来と同程度の偏極解析能をより弱い外部磁場で達成しており、実験配置の自由度を向上させる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 X-ray reflectivity measurement for an iron film.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・共同研究者:TUCAN collaboration、日野正裕氏(京都大学複合原子力科学研究所)
・中性子利用実験は J-PARC, JRR3で行った。(MLF 2019S03, JRR3 22588, 22589)
・科学研究費補助金 22H01236


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Hiroaki Akatsuka, Study of Thin Iron Films for Polarization Analysis of Ultracold Neutrons, Proceedings of the 24th International Spin Symposium (SPIN2021), , (2022).
    DOI: 10.7566/JPSCP.37.020801
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. (1) 赤塚浩明 , 日野正裕, TUCAN collaboration, “TRIUMF における中性子 EDM 測定のための偏極解析膜の評価”, 日本物理学会2022年秋季大会, 岡山理科大学
  2. (2) 赤塚浩明, 日野正裕, TUCAN collaboration, “TRIUMFにおける中性子電気双極子モーメント測定のための偏極解析膜の評価”, 日本物理学会2023年春季大会, ONLINE
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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