利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0208

利用課題名 / Title

エラストマー基板の表面改質

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

蒸着・成膜/Evaporation and Deposition,スパッタリング/Sputtering


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

永島 壮

所属名 / Affiliation

名古屋大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-205:3元マグネトロンスパッタ装置
NU-220:小型微細形状測定機
NU-204:原子間力顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

軟質基板に密着した硬質薄膜に面内圧縮応力が作用すると,表面不安定が生じ,面外変形に起因する凹凸パターンが膜表面に形成する。凹凸パターンの幾何形状や寸法は,膜と基板の弾性特性や応力状態に応じて多様に変化するため,機能表面のボトムアップ設計や器官パターンの形成機構解明に結びつく現象として注目される[1]。本研究は,金薄膜とエラストマー基板から成る二層材料を作製し,表面不安定を誘起して凹凸パターンを形成することを目的とする。本課題では,ARIM名古屋大学(微細加工)の装置を利用し,成膜と凹凸パターンの計測を実施した。

実験 / Experimental

まず,洗浄したスライドグラスの一部をポリイミドテープで被覆し,3元マグネトロンスパッタ装置(HSR-522, Shimadzu Corp.)で金薄膜を蒸着した。成膜後にポリイミドテープを除去して非成膜領域を露出させ,成膜領域との高低差を小型微細形状測定機(ET200, Kosaka Laboratory Ltd.)で計測した。得られた数値を膜厚とし,成膜時間で除することで成膜速度を算出した。次に,私製応力負荷装置に取り付けたエラストマー基板表面に金薄膜を作製した。このとき,成膜時間により膜厚を制御した。最後に,作製した二層材料の圧縮状態を変化させ,その表面形状を走査型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡(Dimeinsion3100, Bruker AXS)用いて観察・評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

結果の一例として,厚さ約206 nmの金薄膜を用いて作製した二層材料の表面形状をFig. 1に示す。薄膜に面内圧縮ひずみ17%を付与したとき,単一方向に配列した周期42.8 µmの隆起パターン「リッジ」が生成し,その表面を3.7 µmの周期を有したしわパターン「リンクル」が被覆する階層凹凸パターンが形成した(Fig. 1a)。一方,面内圧縮ひずみを約60%まで増加させると,リッジの周期は28.5 µmに,リンクルの周期は3.4 µmに減少した。以上の結果は,本研究の手法が,階層凹凸パターンのボトムアップ形成に結びつくことを示す。さらに,膜厚や面内圧縮ひずみを制御することにより,階層凹凸パターンの寸法を制御できる可能性を示唆する。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 SEM images of the hierarchical patterns obtained using the gold film with a thickness of 206 nm. Nominal compressive strains of (a) 17% and (b) 60% were applied to the film.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

【参考文献】 [1] Q. Wang and X. Zhao, MRS Bull. 41 (2016) 115.
【謝辞】本研究は,2022年度大下財団研究助成ならびにJSPS科研費JP22H01360の助成を受けて実施されました。装置利用に際してご指導いただきました名古屋大学未来材料・システム研究所高度計測技術実践センターの本田杏奈様,熊沢正幸様ならびに名古屋大学大学院工学研究科助教の岡智絵美先生に感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. (1) 鈴木 航,永島 壮,松原成志朗,奥村 大,日本機械学会M&M2022材料力学カンファレンス,令和4年9月27日
  2. (2) 鈴木 航,永島 壮,松原成志朗,奥村 大,日本機械学会最適化シンポジウム2022(OPTIS2022),令和4年11月13日
  3. (3) S. Nagashima, K. Suzuki, S. Natsubara and D. Okumura, The 32nd Annual Meeting of MRS-J, 令和4年12月6日
  4. (4) S. Nagashima, K. Suzuki, S. Natsubara and D. Okumura, Adv. Mater. Interfaces (2023) accepted. 令和5年3月21日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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