利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0206

利用課題名 / Title

湿式処理により蓮の葉構造をナノレベルで再現する安価な撥水処理技術の研究開発

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

「表面処理」、「形状・形態観察」、「接触角」


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田島 秀春

所属名 / Affiliation

株式会社  山一ハガネ

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

松山 絵美

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

加藤 剛志

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-204:原子間力顕微鏡
NU-207:X線光電子分光装置
NU-227:走査型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ナノレベルの表面観察が可能な走査電子顕微鏡(SEM)や凹凸構造の数値化が可能な原子間力顕微鏡(AFM)にて、湿式処理により蓮の葉構造をナノレベルで再現する安価な撥水処理(CAST:Carbon-nanotube Added Surface Treatment、以降 CASTと言う)により処理された金属表面の構造と濡れ性の関係を明らかにする。

実験 / Experimental

走査型電子顕微鏡(日本電子社製 / JSM-6301F)、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクフィールディング社製 / S5200)、原子間力顕微鏡(Bruker社製 / AXS Dimension3100)使いました。 (株)山一ハガネにて、条件の異なるCASTにより処理され、各々の接触角が紐づけられたアルミ及び銅板の表面を、SEMを用いて斜視(30°)画像を取得する。上記観察を行った上で、当該箇所の構造をAFMで測定、微細凹凸構造を数値化する。

結果と考察 / Results and Discussion

Fig.1(a)は、CAST処理後のAl-plate表面(「CAST処理されたAl-plate」)を示す。 比較のため、SWCNTsを含まないNaOH溶液における陽極酸化後のAl-plateの表面を示す(Fig.1(b))。 CAST処理を行ったAl板の表面は、そのほとんどが突起構造で、ポーラス構造が見られないことから、高い突起構造が形成していると推測される。また、よく見ると、CNTと思われる細長い白い物体も見られる。 一方、陽極酸化処理されたAl板(Fig.1(b))は、表面に多孔質構造が形成されており、その大部分の孔径は約10nmである。なお、陽極酸化Al板の表面には突起は観察されない。 この結果は、CAST処理がAl-plate表面に突起微細構造を形成するのに効果的であることを示している。 さらに、陽極酸化処理されたAl板の表面とCAST処理されたAl膜をAFMにより分析した。 CAST処理後のAl-plateのAFM3D画像と陽極酸化をそれぞれFig.2(a)とFig.2(b)に示す。 SEM観察と同様に、CAST処理されたAl板に突起構造を観察し、突起の高さと間隔がそれぞれ約100~200nm、50~100nmである。 これに対し、陽極酸化を受けたAl板の表面には突起がなく、観察領域は比較的平坦である。 SEM観察とは異なり、AFM画像では穴が観察されません。これは、穴よりもAFMプローブの直径が大きいことが原因である可能性があります1)

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 CAST処理後のAl-plate表面のSEM画像 (a) CAST処理後 (b) 陽極酸化処理のみ



Fig.2 CAST処理後のAl-plate表面のAFM 3D画像 (a) CAST処理後 (b) 陽極酸化処理のみ


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・本研究成果は、令和1年度 戦略的基盤技術高度化支援事業「湿式処理により蓮の葉構造をナノレベルで再現する 安価な撥水処理技術の研究開発」として実施された成果の一部であり、ご支援いただいた方々に感謝の意を表します。
・参考文献:  [1] 近藤 秀, 鈴木智子, 田島秀春, 丸山隆浩, “カーボンナノチューブを用いた湿式処理による突起構造の形成メカニズムの解明” 第81回応用物理学会秋季学術講演会, 令和2年9月10日, [2] Sangjae Kim et al.,Fabrication of Aluminum/Single-Walled Carbon Nanotube Oxidation Films through CNT-Added Surface Treatment,Journal of Surface Engineered Materials and Advanced Technology, Vol.12,(2022),1-13.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:1件

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