利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NU0031

利用課題名 / Title

花粉壁エキシンの立体構造の観察

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

微小加工, 高速加工観察, 電子顕微鏡,生体イメージング/ In vivo imaging


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

石黒 澄衞

所属名 / Affiliation

名古屋大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

樋口 公孝,依田 香保留

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-104:直交型高速加工観察分析装置
NU-106:試料作製装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

花粉の表面は種ごとに異なる特徴的な立体構造(エキシン)で覆われている。網目状のエキシンはさまざまな生物で見られることから、進化によって到達した一つの完成形であると考えられる。しかし、その複雑さと小ささのために、立体構造を詳細に観察することは容易ではない。また、植物がこの構造をどのような過程で構築するのかはほとんどわかっていない。そこでFIBーSEMを用いて断層撮影を行い、エキシンの立体構造の再構築を試みた。今年度は、小型であるために観察が難しいが、さまざまな突然変異体が利用できることからエキシンの形成と遺伝子の働きを結びつけて考察するのに有利なシロイヌナズナを材料に用い、発達過程のエキシンの観察法を確立することを目的として研究を行った。

実験 / Experimental

実体顕微鏡下でシロイヌナズナの蕾を解体し、発達初期の花粉を取り出した。これを化学固定し、四酸化オスミウムとタンニンで繰り返し染色してからSpurr樹脂に包埋した。ダイヤモンドナイフでトリミングを行ったのち、直交型FIB-SEMシステム(MI4000L)でCut & Seeを行なった。

結果と考察 / Results and Discussion

減数分裂から数日間だけ発達した、シロイヌナズナのステージ12初期の未熟花粉のエキシンを観察した。すでにほぼ完全な構造のエキシンが形成されていたが、表面の網の部分は大きく波打っており、この部分が平滑な成熟花粉と比べて折り畳まれたような構造であった(図1)。ステージ12初期から成熟までの間に花粉は大きく膨張し、表面積を拡大することがわかっている。エキシンは発達初期の花粉の表面で折り畳まれた構造として形成され、その後の表面積の拡大に伴って引っ張られ、最終的に平面的な構造として完成するのだろう。最初に作られる段階から、後で伸長することを見越した構造になっているところが面白く、植物はこの構造をどうやって作るのか興味が持たれる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. FIB-SEMで撮影したシロイヌナズナ未熟花粉のエキシン(ステージ12初期)


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

FIB-SEMの使用にあたり、名古屋大学超高圧電子顕微鏡施設の樋口公孝氏より装置の取り扱い法の指導を受けた。本研究は新学術領域研究「植物構造オプト」の支援を受けて実施された。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 石黒澄衞,“花粉に力学的強度を与える外殻エキシンの立体構造構築機構と建築デザインへの提案” 2022年度日本建築学会大会(北海道),令和4年9月8日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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