【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.04.14】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22SH0003
利用課題名 / Title
電子部品用機能性膜の開発
利用した実施機関 / Support Institute
信州大学 / Shinshu Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,電子分光,パワーエレクトロニクス,ナノエレクトロニクスデバイス,パワーエレクトロニクス
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
津野 将弥
所属名 / Affiliation
KOA株式会社 コア技術研究グループ
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
SH-003:原子分解能分析電子顕微鏡
SH-004:光電子分光装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
機能性薄膜の機能向上のためには、その電気的特性とともに組成(不純物含む)や微細構造の把握が重要である。
そのため、膜組成の定量および微細構造の確認を目的とし、光電子分光を用いて、成膜中に混入する不純物の定量を行い、その電気的特性を確認した。
加えて、透過型電子顕微鏡を用いて、膜の熱処理前後の微細構造を確認した。
実験 / Experimental
【膜組成の定量】
スパッタリング法を用いて、ガラス基板にCr薄膜を成膜した。成膜は一回の成膜プログラムで5回可能の装置を用いているが
その成膜バッチにおいて、電気特性のばらつきが非常に大きいことが確認されている(図1)。
そこで、各バッチにおける膜組成を光電子分光装置(設備ID: SH-004)を用い確認した。定量した組成は、Cr, Oとし、それぞれ表面から30nm程度の深さで測定を行った。
【微細構造の観察】
スパッタリング法を用いて、ガラス基板にCr薄膜を成膜した。成膜したサンプルに対して、窒素雰囲気下にて、500℃の熱処理を施し、観察試料を作製した。
作製試料を原子分解能分析電子顕微鏡(設備ID: SH-003)を用い、微細構造の観察を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
【膜組成の定量】
測定した膜中酸素量を図2に示す。酸素が1バッチ目、6バッチ目で増加しているとともに、バッチを重ねると膜中酸素が減少していく傾向である。
図1の電気的特性から、酸素が増加すると、比抵抗は上がり、TCRは下がるという半導体的な挙動を示すこととも一致する。したがって、電気特性のばらつきは、膜中酸素量がばらつくことが
起因していると推測される。成膜バッチの最初は、チャンバー内にトラップされた水分が抜けきっておらず、その水分が成膜中に脱離することで、膜中酸素が増加していると考えられる。
【微細構造の観察】
観察した膜の熱処理前と熱処理後をそれぞれ示す(図3, 4)。熱処理前では、粒界がはっきりせず、非晶質状である。
熱処理後では、結晶化が進み、膜は柱状であることが分かった。
電気特性は、熱処理で金属的な挙動を示すことが分かっており、微細構造観察により、電気特性の変化は結晶化が進んだことによるもとである。
以上より、膜組成や微細構造は電気的特性に大きく影響をあたえることが明らかとなった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. 各バッチにおける電気特性(比抵抗, 抵抗温度係数)
図2. 測定した膜中酸素量
図3. 熱処理前
図4. 熱処理後
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件