利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.26】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23AE0029

利用課題名 / Title

貴金属高選択吸着剤の開発を目的とした貴金属-チウラムジスルフィド錯体の局所構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

日本原子力研究開発機構 / JAEA

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

XAFS,貴金属吸着,錯体


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中窪  圭佑

所属名 / Affiliation

国立研究開発法人 産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

鈴木 智也,粕谷 亮,成田 弘一

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

小林 徹,谷田 肇,塩飽 秀啓

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AE-003:高輝度放射光XAFSシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

廃触媒、電子廃棄物、産業排水などの二次資源から湿式法で貴金属を選択的に分離し、リサイクル可能な吸着剤の開発を目指している。過去にジチオカルバメートと呼ばれる配位子をセルロースに修飾した吸着剤を開発したが、金、銀、白金、パラジウムの相互分離が困難であった。しかし、これまでの検討から、テトラエチルチウラムジスルフィド配位子は上述の金属のうち金・銀を選択的に吸着可能であるということが明らかとなった。これらの有機配位子の化学構造は非常に類似しているにも関わらず、金属選択性に大きな違いがある。この選択性の変化を錯体構造の観点から詳細に理解することは、更に選択性が高い化学構造発見の一助となる。本提案では、チウラムジスルフィドとジチオカルバメートを配位子とする貴金属錯体の構造的な違いをX線吸収微細構造(XAFS)により検討した。

実験 / Experimental

適当な溶媒に溶解させたジエチルジチオカルバメートあるいはテトラエチルチウラムジスルフィド溶液に所定濃度の金あるいは銀水溶液を添加することで貴金属錯体を合成した。生じた錯体を溶媒抽出法で分離し、再結晶により固体として得た。測定試料は、金属濃度が最大で10mass%になるように窒化ホウ素で希釈し、ペレット化した。Au LIII edge(11.9 keV)およびAg K edge(25.5 keV)XAFS は透過法によりBL22XU にて測定した。XAFS スペクトルの解析には Athenaを用いた。

結果と考察 / Results and Discussion

金については、錯体合成における原料の塩化金酸ナトリウム水溶液と比較して、チウラムジスルフィドとの反応により、ホワイトラインのピーク位置が11914.4 eVから11915.3 eVにシフトした。金-ジチオカルバメート錯体については、錯体形成後においてホワイトラインピークが11914.4 eVから11917.8 eVに大きくシフトした。Au-チウラムジスルフィド錯体に比べ、スペクトルの形状に大きな変化が見られた。以上のピークシフトから、錯体形成による金の価数や構造変化が示唆された。錯体中の金の価数や構造の具体的な変化を同定するためにも、1価金等の様々な価数や構造を含む参照物質の測定が必要であると考えている。  銀については、原料の硝酸銀と比較して、合成した錯体は、XANESスペクトルの形状に変化がみられた(図1b)。銀箔や硫化銀のXANESスペクトルと比較すると、各錯体のスペクトルの形状は硫化銀のそれに近いことから[1]、価数に変化はなく1価として存在していると考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. XANESスペクトル (a)金試料、(b)銀試料


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

参考文献:[1] R. Sekine et al., Environ. Sci. Technol., (2015) 49, 2, 897–905


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る