【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.31】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23MS5006
利用課題名 / Title
Phase noise cancellation systemの研究開発
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
3Dプリンター, 光ファイバー, レーザー
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
富田 隆文
所属名 / Affiliation
分子科学研究所 光分子科学研究領域(大森G)
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
鈴井 光一,松尾 由紀子
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
近藤 聖彦,高田 紀子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
量子制御用レーザー光に含まれる位相ノイズをキャンセルする光学システムに用いるデバイスにFiber Stretcherがあり、その内部には一定の張力を維持しながら光ファイバーを巻き付けた要素部品がある。さらに、この主要な部分(ボビン)には光ファイバーが接触する円筒面があり、その円筒面の表面形状がFiber Stretcherの性能を左右する。今回、このFiber Stretcherのボビンを内製するにあたり、量産を見越して3Dプリンターでの造形製作を試みた。3Dプリンターでは樹脂積層の縞状構造が避けられず表面粗さも限界があると予想される。そこで、試作したボビンの円筒面の形状計測を行い、3Dプリンターによるボビン製作条件を探索する。
実験 / Experimental
分子研装置開発室が所有する3Dプリンター(RAISE 3D Pro2)を用いてPLA(Poly-Lactic-Acid)樹脂の積層造形によるボビンの製作を行う。Fiber Stretcherのボビンは金属加工によって製作されたものが一般的であるため、比較のためアルミニウム合金(A5052)で同形状のものを試作する。 これら試作された樹脂製と金属製ボビンの表面を3次元プロファイラーシステム(Zygo Newview)を用いて表面粗さおよび表面の3次元構造データを取得し、評価を行う。
結果と考察 / Results and Discussion
3Dプリンタによる樹脂積層造形のボビンは、積層ピッチ125 µmの縞構造が明確に現れている。この縞構造は直径250 µmのファイバーを巻く際にはファイバーのガイドとなるため有効な形状である。また測定範囲内での表面粗さはSa=18.848 µm、Sq=22.442 µmが得られ、この値は金属加工とほぼ同等であった。一方、縞構造の周期は一定だが縞の高さ方向には図1に示すように不規則に40 µm程度突出した縞が生じている。このボビンを用いて実際に光ファイバーを巻きFiber Stretcherとして評価したところファイバーの偏向特性が著しく低下した。これはボビンの縞構造の中に存在する突出した縞状の部分がファイバーに局所的に接触することによってファイバーに不均一な応力を与えているものと考えられる。このことから、3Dプリンターによるボビンの製作には、積層による縞構造の均一化が重要であることが判明した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 光ファイバーの偏向特性を低下させる要因となった縞構造。連続した周期の縞状構造の一部に突出した縞構造が見られる。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件