利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23MS0022

利用課題名 / Title

黒鉛上に担持したナノ粒子の電気化学挙動のその場観察

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

電気化学原子間力顕微鏡、その場観察、Agナノ粒子、二酸化炭素電解還元反応


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

原 正則

所属名 / Affiliation

豊田工業大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

板倉和希,吉村雅満

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

湊 丈俊

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-204:走査プローブ顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究では、二酸化炭素電解還元反応の電極触媒であるAg粒子担持黒鉛のモデル電極として、高配向熱分解グラファイト(HOPG)上にAgナノ粒子を担持した電極を作製し、電気化学原子間力顕微鏡(EC-AFM)を用いて、その電気化学挙動の直接観察を行った。本研究より、CO2の電解還元反応の進行するナノ粒子の劣化挙動と電極電位の関係を直接観察することに成功し、電極触媒の劣化の原因が負電位(-1.0 V vs. Ag以下の電位)においてAgナノ粒子の吸着が弱くなり、脱離しやすくなるためであることを明らかにした。

実験 / Experimental

溶液中において、電位制御下での表面構造をその場観察することができる分子研の環境制御走査プローブ顕微鏡(SPM)の特徴を活用し、二酸化炭素電解還元反応の発生する溶液環境・反応電位において、Agナノ粒子を担持した電極表面の構造変化を観察した。測定に使用するAgナノ粒子担持HOPGは豊田工業大学(表面科学研究室)において作製し、分子研では電気化学測定下におけるSPM測定を実施した。 SPM測定では、表面に欠陥を導入したHOPG担体上に蒸着したAgナノ粒子の形状やサイズを、0.1 M KHCO3溶液中において 0 ~ -1.2 V vs. Ag の範囲でその場観察した。SPM観察より得られた結果を基に、電極の構造や電極電位、溶液やCO2の存在がナノ粒子の挙動および安定性に与える影響について解析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

環境制御SPMを用いて、大気中、溶液中および電位制御下でのHOPG表面上のAgナノ粒子の構造の観察およびフォースカーブ測定を行った。SPM測定より、HOPG表面上への欠陥導入によりAgナノ粒子の吸着の安定性が向上すること、溶液中に浸漬することによりAgナノ粒子の粒子径が増大すること、電位によりAgナノ粒子の吸着の安定性が変化し、-1.0 V vs. Agより負電位においては吸着が弱くなって探針の接触によりAgナノ粒子が容易に移動・脱落することが分かった。これより、Agナノ粒子の安定性の維持には精密な電位制御が重要であることが示された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・日本学術振興財団科学研究費助成事業(科研費A)「液中原子分解能探針増強ラマン分光顕微鏡による電極・触媒反応機構の簡明」 ・今井弓子氏(分子研)のAFM測定のおける技術サポートに感謝します


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Kazuki Itakura, Taketoshi Minato, Masanori Hara, Masamichi Yoshimura, “Electrochemical AFM analysis of silver nanoparticles supported on defect-loaded HOPG as carbon dioxide reduction catalysts” ICSPM 31(Tokyo) S4-12, 2023/12/7.
  2. 板倉和希, 原正則, 湊丈俊, 吉村雅満,“CO2電解還元用Ag担持グラファイト電極の表面構造の電気化学AFM解析” 電気化学会第91大会(名古屋)S16_1_24, 令和6年3月14日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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