利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.08.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23MS0001

利用課題名 / Title

有機溶媒と接する氷界面のナノ力学応答の計測評価

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ナノ計測, 力学応答, 走査プローブ顕微鏡, 表面界面


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

大西 洋

所属名 / Affiliation

神戸大学大学院理学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

柳澤 瞭,陸 政希

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

湊 丈俊

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-204:走査プローブ顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

湊丈俊主任研究員(ARIM担当者)らの協力のもとで、分子科学研究所機器センターが管理する原子間力顕微鏡(Bruker社製AFM, Dimension icon XR NanoE)を収める防音ボックス内に冷媒配管を設置した。液体窒素ベッセルから生じる窒素ガスを定常的に流し入れてAFM装置全体を-10℃前後まで冷却するノウハウを確立した。水と相溶しない有機溶媒である1-オクタノール(凝固点-16℃)に氷を浸漬してAFM形状像を計測し、2枚の平坦な結晶面を隔てる高さ0.12 nmのステップを画像化した。冷媒配管を設置したことで当該AFM装置は室温から-10℃まで任意の温度で液中測定が可能になった。

実験 / Experimental

防音ボックスに収めた原子間力顕微鏡装置全体を-10℃前後まで冷却して、液体水と相溶性をもたいない有機溶媒(1-オクタノール・1-ヘキサノール・1-ブタノール・デカン)に氷を浸漬し、氷点下かつ有機溶媒の凝固点より高い温度(-10℃前後)に保つことで、有機溶媒-氷界面をナノメーター精度でAFM計測するノウハウを確立した。

結果と考察 / Results and Discussion

水と相溶しない有機溶媒である1-オクタノール(凝固点-16℃)と1-ヘキサノールに氷を浸漬して計測したAFM形状像(図1中央と右)において、2枚の平坦な結晶面を隔てる高さ0.12 nmのステップを画像化した。窒素ガス中で計測した形状像(図1左)と比較して表面の平坦性が高かった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. 氷表面をAFMで計測した形状像. (左)窒素ガス中,(中央)オクタノール液体中,(右)ヘキサノール液体中.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

分子科学研究所機器センターの上田正主任技術員ならびに中本圭一特任研究員による支援に感謝する。本協力研究は科学研究費挑戦的研究(萌芽)固体に挟まれた潤滑油分子の並進運動計測:単一蛍光分子追跡(21K18935)および基盤研究(S)境界潤滑の科学-添加剤吸着層の構造・物性に基づく低摩擦現象の本質的理解(23H05448)の支援をうけて実施した。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Ryo Yanagisawa, The interface between ice and alcohols analyzed by atomic force microscopy, The Journal of Chemical Physics, 161, (2024).
    DOI: 10.1063/5.0211501
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. R. Yanagisawa, T. Ueda, K. Nakamoto, H. Onishi, T. Minato, “AFM Characterization of Ice Films Immersed in Organic Solvents” 31st International Colloquium on Scanning Probe Microscopy (ICSPM31), 令和5年12月7日.
  2. R. Yanagisawa, T. Ueda, K. Nakamoto, H. Onishi, T. Minato, “AFM Characterization of Ice under Organic Solvents,” 2023年日本真空表面科学学術講演会, 令和5年10月31日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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