利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22JI0034

利用課題名 / Title

絶縁基板上の反強磁性薄膜の断面TEM観察

利用した実施機関 / Support Institute

北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,原子薄膜,スピントロニクス,表面・界面・粒界制御


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

吉田 靖雄

所属名 / Affiliation

国立大学法人金沢大学理工研究域数物科学系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

島村 一利

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

東嶺 孝一,伊藤 真弓

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

JI-008:原子分解能走査透過型電子顕微鏡
JI-009:透過電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Mnはユニットセルに58個の原子を含む複雑な構造をしており、その磁性や構造の詳細は理解されていない。我々はこれまで、分子線エピタキシー(MBE)を用いてMgO(001)およびサファイヤ基板上(0001)にMn薄膜を作成し、構造解析と電子輸送特性を調べてきた。その結果、電気抵抗測定からバルクでは90 Kの反強磁性転移温度(TN)が、どちらの基板上の薄膜でも120 Kまで上昇することを確認した。このTN上昇の原因は未だ理解されておらず、その起源に興味が持たれる。また、サファイヤ基板は六方晶の構造を有しており、Mnによる三角格子反強磁性薄膜を成長させて反強磁性スピントロニクス材料へ応用することも可能となる。本研究課題では、この反強磁性転移温度の上昇の原因を探ることと、サファイヤ基板上で三角格子反強磁性薄膜が成長しうるのかを調べるため、Mn薄膜のFIBによる微細加工と断面TEMによる界面の観察を行わせて頂いた。

実験 / Experimental

金沢大学のMBE装置を用いて、MgO(001)とサファイヤ(0001)基板上にMnを100 nm程度成長させた二つの薄膜試料を作成した。どちらの試料も表面を保護する目的で、Mnの蒸着後にMgOを数nm程度蒸着させた。この試料を用いてJAISTのFIBを用いて試料を作成して頂いた。作成して頂いた試料を用いて、断面TEMによる観察を行なった。

結果と考察 / Results and Discussion

測定の結果、MgO基板の方は基板の表面がさほどフラットではなかったが、Mnは基板の構造を反映した成長をしていることが分かった。一方、サファイヤ基板上ではMn薄膜と基板の間に一層程度、基板の構造に近い層ができており、二層目から少しずつMn本来に構造に戻っていく様子が観察された。どちらの基板もその構造はMnの結晶構造と大きなミスマッチを持つにも関わらず、Mnが本来の構造を保って成長していた。また基板の対称性の高い軸方向に沿うようにMnが成長しており、基板に対するMnの成長方向も明確に見ることができた。現在、金沢大学で行っている二次元検出器を用いた薄膜X線構造解析を通して、断面TEMの結果をサポートする結果が得られつつある。また、サファイヤ基板上のMn薄膜は、一層程度の基板に近い構造が見られており、数層程度の薄膜を作成することでMnの三角格子反強磁性薄膜が構築できる可能性が示唆された。これらの結果は、薄膜X線構造解析の結果と合わせて論文を執筆予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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