利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2024.06.06】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22JI0015

利用課題名 / Title

原子層ファンデルワールスヘテロ構造の電子顕微鏡観察

利用した実施機関 / Support Institute

北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/Electron microscopy,原子薄膜,原子層薄膜


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

宮田 耕充

所属名 / Affiliation

東京都立大学理学研究科 物理学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

吾郷浩樹,渡邊賢司

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

高村由起子,大島義文

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

JI-008:原子分解能走査透過型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究では、二次元物質の組成や角度を制御した積層を通じて、新奇な物性の探索から光/電子デバイス等の高性能化などの学理の創出につなげていくことを大きな目標としている。特に、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)や六方晶窒化ホウ素(hBN)などの二次元物質をファンデルワールス力で積層させたヘテロ構造に着目し、その試料作製に関する実験を進めている。今回の研究では、大面積化および高品質化に向けた指針を得るために、積層試料の作製および電子顕微鏡観察を行った。

実験 / Experimental

化学気相成長を利用して、単層のTMDCの単結晶をシリコン基板上に合成した。このTMDC試料を積層化するために、多層hBNの剥離フレークを利用した。具体的には、最初にhBNフレークをポリマー表面に接着させ、そのhBNフレークとTMDCを加熱させながら密着させる。その後、hBNフレークをポリマーと共に持ち上げる。このプロセスにより、シリコン基板からhBN表面にTMDCを転写できる。同様の転写プロセスを別のTMDCで行うことで、異なる組成のTMDCの積層や、積層角の異なるTMDC二層が作製できる。得られた試料は観察用の基板に転写し、北陸先端科学技術大学院大学の透過型電子顕微鏡 (TEM)を利用して試料の観察を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

図1aに作製した試料のTEM像を示す。数百nm程度の直径を持つ円状のコントラストが多数観察された。これの構造はバブルと呼ばれ、異なるhBN/TMDCおよびTMDC/TMDC間に含まれる不純物が凝集した構造を反映している。このバブルは、積層プロセス中に不純物などが層の間に含まれるために形成することが知られている。今回、本プロセスで作製した試料において、ナノスケールのバブルを電子顕微鏡で多数観察できることを確認した。また、図1bにバブルが無い領域における高分解のTEM像を示す。結晶方位や格子定数が異なる二次元物質を積層させた場合に場合に、このようなモアレ模様と呼ばれる数nm周期の周期的なパターンが見られる。今後、転写プロセスの改善や試料の清浄化を通じ、モアレ模様が現れる領域の大面積化を進めていく予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1.(a,b) hBN/TMDC積層ヘテロ構造の電子顕微鏡像。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Masahiko Kaneda, Nanoscrolls of Janus Monolayer Transition Metal Dichalcogenides, ACS Nano, 18, 2772-2781(2024).
    DOI: doi.org/10.1021/acsnano.3c05681
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る