利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.23】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23CT0014

利用課題名 / Title

MIHに特化した新規コーティング剤の開発

利用した実施機関 / Support Institute

公立千歳科学技術大学 / Chitose IST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials,DDSマテリアル/ DDS material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

藤田 裕介

所属名 / Affiliation

北海道医療大学 大学院歯学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

CT-011:電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Molar incisor hypomineralization (MIH)は,2018年の全国調査により,7-9歳の小児の約19.8%が罹患していることが明らかとなり,歯科臨床において大きな課題の一つとなっている1)。Bio coat Ca(サンメディカル,BC)は,MIHにより生じる知覚過敏の抑制効果を有する報告があるが2),色調異常の回復効果は十分ではない。本実験は,BCに色調を付与した場合の接着性能および再石灰化に係るCa放出能への影響について検討し,知覚過敏抑制効果に加え,色調異常の回復にも対応したMIH特化型レジン系コート材の開発を目的とした。

実験 / Experimental

コート材として, BCおよびBCに色調を付与するため,フィラー白色粉末(WP)を0.5%, 1.5%, 3.0%, 5.0%それぞれ添加したWPBCを用いた。得られた試料の色調は図1に示す。1. 微小引張り試験:抜去歯(本学倫理審査委員会承認2016-No.0010)は,歯冠部中央から歯軸に対して垂直に切断しエナメル質および健全象牙質を露出させ,各コート材で歯面処理を行った。その後,コンポジットレジン(CR)を盛り上げ,積層充填したものを接着試料とした。接着試料は接着界面に対し接着面積が1 mm²のスティック状になるよう切断し,万能試験機を用いて引張強さを測定した。測定後の試料破断面はSEMにて観察した。 2. Ca放出量の測定:各コート材を用いて直径10 mm高さ1.5 mmのレジンディスクを作製し,10 mlの超純水中に1週間浸漬させた。浸漬後の溶液は原子吸光計でCa量を測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

1:初期接着力について,BCと比較し0.5-3.0%WPBCは有意差を認めなかった。5.0%WPBCは接着力が有意に低下した(図2)。破断面の観察では,WPの増加に伴いCR内での破断が減少し,接着層内での破断が増加する傾向を認めた(表1)。 2:Ca放出量の測定では,WPBCはWP配合量に比例して,Caの放出量は増加し,1.5%-5.0%WPBCでは,有意に高いCa放出量を示した(図3)。BCは歯質との接着性能が高く,Caを継続的に放出することで歯質の再石灰化を可能としたバイオアクティブ材料である2。BCの性能を損なわず,MIHに対して歯質に近い色調を付与できることが望ましい。本実験から,WPBCはWP配合量の増加に比例して機械的性能が減少する傾向を示した。また,接着層内で破断がみられたことにより,Caの放出が増加したと考えられた。初期接着能は,BCと比較してWP配合量は3.0%まで接着力に有意差はなく,5.0%で有意に低下を示したことから,配合許容量は3.0%であることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 配合別WPBCの色調



図2 微小引張り強さの測定



図3 Ca放出量の測定



表1 初期接着強さ測定後の破断面の観察


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

1)Saitoh M et al. Prevalence of molar incisor hypomineralization and regional differences throughout Japan. Environ Health Prev Med 23(1): 55, 2018. 2)Tadano M et al. The Retention Effect of Resin-Based Desensitizing Agents on Hypersensitivity-A Randomized Controlled Trial. Materials 15(15): 5172, 2022.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 藤田裕介,青山有子,庄内喜久子,倉重圭史,伊藤修一,齊藤正人.MIHによる色調異常に特化したレジン系コート材の開発.第62回日本小児歯科学会大会.令和6年5月16日口頭発表.16日ー17日ポスター発表
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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