【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.18】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22JI0007
利用課題名 / Title
全固体リチウムイオン電池のTEM観察
利用した実施機関 / Support Institute
北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/Electron microscopy,二次電池
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
平山 雅章
所属名 / Affiliation
国立大学法人東京工業大学物質理工学院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
麻生 浩平 ,伊藤 真弓
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
全固体リチウムイオン電池は、安全性とエネルギー密度を高いレベルで両立する次世代電池として期待されている。電池の各部や界面で起こるさまざまな現象を切り分けて考えるために、モデル薄膜電池を用いた研究が進められている。電池特性と材料の結晶性は深い関係にあるので、薄膜電池の特性を理解するうえで、(S)TEMを用いて結晶構造を局所的に観察することは重要と考えらえる。
実験 / Experimental
本研究では、薄膜電池の(S)TEM観察を目的として進めてきた。薄膜電池は、パルスレーザー堆積法およびスパッタ蒸着によって作製した。基板にはSrTiO3を用い、そのうえに集電体のSrRuO3 (厚さ約50 nm)、正極材料のLiCoO2 (約100 nm)、固体電解質のLi3PO4(約2 µm)、負極のTi (約1 µm) を順に堆積させた。今回観察したい領域は、試料最表面から約3 µmの深さに位置するLi3PO4とLiCoO2である。しかし、通常のFIB加工では、試料表面からおよそ100 nmまでの浅い領域の観察を想定している。そこで本研究では試料加工を工夫した。具体的には、最表面から5 µmの深さまで試料を切り出したのち、これを上下反転させた。薄片試料はFIB加工用グリッドに固定し、基板のSrTiO3側から約2 µm削って加工を進めた。試料表面のダメージ層は、低エネルギーArイオンミリング装置を用いて取り除いた。
結果と考察 / Results and Discussion
(S)TEM観察を行ったところ、LiCoO2はアイランド状に成長していた(図1)。Li3PO4について電子回折図形を取得したところ、LiCoO2との界面から約1 µm離れた領域ではアモルファスパターン、界面から数十nmの領域では多結晶パターンが観察された。Tiを蒸着する際に試料を高温にしたことで、基板に近いLi3PO4では結晶化が進んだと考えている。イオン伝導としてはアモルファス構造のほうが優れるとされている。観察結果を合成にフィードバックすることで、より優れた電池の研究開発につながると期待できる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1.HAADF-STEM image of a LiCoO2(003)/SrTiO3(111) film.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 伊藤真弓、麻生浩平、伊藤広貴、Xiaopeng Liu、平山雅章、大島義文、全固体リチウムイオン電池の(S)TEM観察に向けたFIB試料加工、日本顕微鏡学会 第79回学術講演会、2023年6月26日(月)~28日(水)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件