【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.09】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NI1904
利用課題名 / Title
ハイブリッドめっきによるCu合金上へのSn-Mo系複合めっき膜の観察
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
表面・界面/ Surface and Interface,電極材料/ Electrode material,電子顕微鏡/ Electronic microscope,資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
頼實 竜一
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
呉松竹
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
日原岳彦
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
リチウムイオン電池(LIB)は、従来、負極に導電性の高い純銅箔を集電体とした炭素系活物質が使用されているが、炭素系負極材料は充放電容量が理論値372 mAh g-1にほぼ達しているため、新しい高エネルギー密度の活物質の開発および実用化が期待されている。そして、スズ(Sn)系やモリブデン(Mo)系酸化物は理論容量が炭素材料より3倍ほど高いので、次世代高容量LIB負極材料として注目されている。我々の先行研究では、Snの電気めっきとTiO2の泳動電着を組み合わせたハイブリッドめっき法により銅板上に鱗片状Sn-SnO2-TiO2/Cu6Sn5複合めっきを作製し、バインダーフリーのLIB負極として約3倍高い容量を示すことが確認された。本研究では、LIB負極のサイクル特性と高温特性を改善するためにSn系めっき膜中にMoOxを導入し、SnO2-MoOx系複合めっき膜の条件探索や特性評価を行うこととした。
実験 / Experimental
高導電性圧延銅板を基材とし、前処理として電解脱脂処理、酸洗いを行った。その後、Snめっき浴、Moめっき浴およびその混合めっき浴を用い、めっき浴の組成、浴温、電流密度、通電時間などに対するめっき条件を探索した。また、作製した各種めっき膜の物性を評価するために、FE-SEM, EDS測定などを行い、めっき膜の表面状態と結晶構造などについて調べた。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig.1aは単独なMoめっき膜の表面状態を示す。連続膜ではない破片の存在が確認でき、これはEDS分析によるとMoであり、さらに検出元素におけるOの割合が大きなことからMoがMOO3の酸化物状態で存在していると推定する。またCu基板の露出と多くのクラックの存在が確認され、めっき膜の応力が大きいためめっき膜の密着性が乏しいと考えられる。 Fig.1bはMoめっき液中にSnイオンを添加して作成しためっき膜の表面状態を示す。細かなナノ粒子が集まった存在が確認でき、めっき膜の密着性も大きく改善された。また、EDS分析からMoとSnが検出されて複合めっき膜となるが分かり、Sn/Moモル比からSnがMoより優先的に析出することが分かった。さらに酸素の割合が大きかったことから粒子中のMoとSnとも酸化物の状態で存在していることが分かり、 SnO2-MoOx系複合めっき膜が形成されたと考えられる。Fig.1cはそれぞれ単独なMoめっきとSn-Mo複合めっきにおけるめっき質量変化と通電時間の相関を表す。いずれもめっき時間に対してめっき質量が増加しているが、SnO2-MoOx複合めっきは単独なMoめっきより低い。しかし、めっき膜の外観および表面写真(Fig.1aとFig.1b )から、Mo-Sn複合めっき膜は連続的に形成されているため電気化学特性の向上が期待できる
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
呉 松竹、三浦智史、八代 仁;銅と銅合金,55(1), 64-68 (2016)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 賴實竜一、呉松竹ほか,”ハイブリッドめっき法による Sn-Mo系複合めっき膜の創製およびその特性評価" 06B07 第149回表面技術協会講演大会(工学院大学八王子キャンパス), 令和6年3月7日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件