利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22JI0005

利用課題名 / Title

コンポジットナノ粒子の高度構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

北陸先端科学技術大学院大学 / JAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

貴金属系合金/ Noble metal alloys, 金属間化合物/ Intermetallic compounds, 微粒子/ Fine particles,電子顕微鏡/Electron microscopy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

迫野 奈緒美

所属名 / Affiliation

独立行政法人国立高等専門学校機構富山高等専門学校 物質化学工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

東嶺孝一,小林祥子,村上達也

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

JI-008:原子分解能走査透過型電子顕微鏡
JI-009:透過電子顕微鏡
JI-013:X線光電子分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

気相合成法の1つである蒸発濃縮法を用いて、AgおよびAuを含んだ合金型ナノ粒子を合成し、得られたナノ粒子の構造解析および元素分析を技術依頼した。蒸発濃縮法は、加熱温度が重要なパラメーターの1つであり、加熱温度を変化させることで粒子径や合成量に影響を与えることが報告されている。また蒸発濃縮法に用いる管状電気炉を2台連結する事で、複数金属の合金型ナノ粒子が合成出来る事も明らかになっている。蒸発濃縮法を用いて合金型ナノ粒子を合成する場合、それぞれの電気炉における加熱温度を変化させることで、蒸発量の違いからナノ粒子中の元素比率を変化させることが出来ないかと考えた。そこで本研究では、技術依頼にて加熱温度とナノ粒子の構造、およびナノ粒子中における各元素の比率を詳細に分析した。走査透過型電子顕微鏡(STEM)によるナノ粒子の粒子径および形状観察、EDS測定によるマッピング分析およびラインスキャン分析、X線光電子分光法(XPS)を用いた元素分析を依頼した。

実験 / Experimental

電気炉を2つ連結させ、それぞれの電気炉に異なる金属を設置し融点付近まで加熱した。そこに不活性ガスを流すことでコンポジットナノ粒子を合成した。金属種はAgおよびAuの2種類を用いた。本実験では、AgおよびAuどちらかの加熱温度は一定とし、もう一方の加熱温度を融点付近で変化させた。得られたナノ粒子は顕微鏡観察グリッドに直接担持した。申請者がナノ粒子合成および顕微鏡観察用グリッドへの直接担持までのサンプル調製を行った。顕微鏡観察およびEDS測定によるマッピング分析、ラインスキャン分析、XPSによる元素分析を技術支援者にお願いした。

結果と考察 / Results and Discussion

合成されたナノ粒子のマッピング分析およびラインスキャン分析から、電気炉の加熱温度の違いに関わらず合金型ナノ粒子が合成されている事を確認した。また、FFTパターンおよびSAEDパターンから、観察されたどのナノ粒子もfcc構造を有しており、結晶構造も変化していない事が示唆された。さらに、EDS分析からナノ粒子中の元素モル分率を求め、加熱温度ごとのモル分率の比較を行ったところ、加熱温度が上昇するにつれて元素割合が増加していく傾向が見られた。この結果は、AgおよびAuどちらの金属でも同じ傾向が見られた。また、XPSによる元素分析の結果から、得られたナノ粒子は酸化していない事が確認出来た。さらに、XPSの結果からもAgおよびAuの元素比率を求め、EDS分析結果と比較したところ、おおよその一致が見られた。また同じ条件のサンプルについて、バブリングによって液相中にナノ粒子を捕集し、ICP-AES分析により溶液中のAgおよびAuの元素比率を求めたところ、EDS分析およびXPS分析の結果とおおよそ一致していた。これは、EDS分析から1粒のナノ粒子中の元素比率、XPSによる元素分析からナノ粒子表面における元素比率、ICP-ACS測定から得られたナノ粒子全体の元素比率をそれぞれ求めた事になる。以上の結果から、加熱温度の違いにより、合金型を維持したままモル分率の異なるコンポジットナノ粒子を合成可能であること、また得られたナノ粒子はホモロジカルである事が示された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

実験に協力頂いた技術支援者の小林祥子氏、東嶺孝一氏、村上達也氏に感謝する。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Naomi Sakono, Molar-Fraction-Tunable Synthesis of Ag–Au Alloy Nanoparticles via a Dual Evaporation–Condensation Method as Supported Catalysts for CO Oxidation, ACS Applied Nano Materials, 6, 3065-3074(2023).
    DOI: https://doi.org/10.1021/acsanm.3c00089
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 大郷和暉、石田悠人、迫野奈緒美、”蒸発濃縮法を用いてモル分率を制御した合金型Ag-Auナノ粒子の合成”、第12回CSJ化学フェスタ2022(東京)、令和4年10月19日
  2. 大郷和暉、清水麻亜、迫野昌文、迫野奈緒美、”気相中における合金型Ag-Auナノ粒子の合成および触媒活性評価”、日本化学会近畿支部2022年度北陸地区研究発表会(富山)、令和4年11月11日
  3. 迫野奈緒美、清水麻亜、”気相合成した金属ナノ粒子のガラス基板への直接担持”、化学工学会第88回春季年会(東京)、令和5年3月16日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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