【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.07】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NI1903
利用課題名 / Title
ハイブリッド電解法によるTi板上への高性能Ni-W-Mo系複合膜の観察
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋工業大学 / Nagoya Tech.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
チタン基合金/ Titanium-based alloys, 薄膜/ Thin films, 表面・界面/ Surface and Interface,資源使用量低減技術/ Technologies for reducing resource usage,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,資源循環技術/ Resource circulation technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
三輪 颯也
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学工学部物理工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
チタン合金は硬度、耐熱性、耐食性に優れているため、航空機エンジンに使用されている。そしてチタンの耐食性と耐摩耗性を向上するために、アノード酸化を利用してチタン酸化膜形成する方法が知られているが、チタンは表面に酸化被膜を有するためチタン上への電気めっきは極めて難しい。一方、優れた耐摩耗性を持つクロム系めっき皮膜は従来の硬質合金皮膜の一つであるが、毒性があり、人体や環境に及ぼす負荷が大きいため、代替めっきの開発が必要である。
そこで、超高硬度で耐摩耗性、耐食性に優れるNi-W系、Ni-Mo系の合金皮膜に着目した。私たちの以前の研究では、スマート陽極酸化によって硝酸ベースの溶液中で形成されたナノ多孔性TiO₂-TiN複合膜が導電性を改善したことが報告されている。このアプローチを用いて、チタン上にNi-W系合金膜を作製することに成功し、高温特性の改善が実現した。本研究では、チタン上のNi-W系合金膜の均一性向上を目的とし、アノード電解を用いてチタン上にNi-W系酸化皮膜を形成し構造特性の評価を行った。
実験 / Experimental
出発試料として純チタン板(20×50×0.2 mm, 99.5%)を用い、前処理としてアセトン超音波洗浄と酸浸漬をそれぞれ行った。そして、Ni²⁺及びWO₄²⁻を含む硝酸系溶液中でハイブリッドアノード酸化を行う。その後、同一の溶液を用いて異なる作製プロセス(カソード電解、交流電解、およびその複合)によりTi-Ni-W-O複合皮膜を作製した。めっき膜の表面状態をARIM共用設備のFE-SEM、化学組成をFE-SEM付設のEDSにより調べた。また、研究室等の設備を利用して、結晶構造をXRD、深さ方向の元素分析をGD-OES、硬度をビッカース硬さ試験、耐食性を電気化学測定により調べた。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig.1(a)にハイブリッドアノード酸化直後のFE-SEM像を示す。ハイブリッドアノード酸化直後のビッカース硬さは約390 Hvとなった。また、ハイブリッドアノード酸化後に低電流にてカソード電解を行う方法1(Fig.1(b))では約450 Hv、高電流にてカソード電解を行う方法2(Fig.1(c))では内部応力による亀裂欠陥がみられるが約500 Hvまでビッカース硬さは向上した。 Fig.1(d)に耐食試験により得られた分極曲線を示す。ハイブリッドアノード酸化直後の試料は耐食性が悪く測定ができなかったが、ハイブリッドアノード酸化後にカソード電解処理を行うことで耐食性の向上が確認された。方法1により処理を行った試料は最も耐食性が良く、腐食電位は-0.1281 V、腐食電流は6.324×10⁻² µAとなった。一方、方法2にて処理を行った試料は方法1を行った試料に比べ耐食性が低下した。これは、Fig.3にみられる亀裂欠陥による影響と考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 Surface FE-SEM images of Ti-Ni-W-O composite films (a) Anodization (b) Anodization + Electrodeposition 1 (c) Anodization + Electrodeposition 2 (d) Polarization curves of Ti-Ni-W-O composite films
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援により名古屋工業大学で実施された。課題番号:JPMXP1223NI1903
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- ○三輪颯也,増田哲志,松平航弥、劉珈成,呉松竹*,栗田典明,日原岳彦, 「ハイブリッドアノード酸化によるTi板へのTi-Ni-W-O系複合酸化皮膜の創製と構造特性」, 表面技術協会 第149回講演大会(東京), 2024/3/5-6
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件