利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.04】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23TT0050

利用課題名 / Title

InGaAsN成膜における基板ステップの影響

利用した実施機関 / Support Institute

豊田工業大学 / Toyota Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

化合物半導体, 再生可能エネルギー材料, 薄膜, 段差計


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

塚本 壮哉

所属名 / Affiliation

豊田工業大学 工学部先端工学基礎学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TT-017:表面形状測定器(段差計)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

III-V族化合物多接合構造太陽電池の高効率化を実現するため、4接合構造の第3セル材料として期待されるInGaAsNセルの研究開発を行っている。InGaAsN材料は結晶中に窒素起因の欠陥が形成されるため、キャリア移動度の高い高品質な結晶の成膜が困難な材料系である。本研究では、化学ビームエピタキシー(CBE)法で成膜したInGaAsNにおいて、GaAs(001)微傾斜基板のオフ方向が、キャリア移動度などの電気的特性に与える影響を明らかにすることを目的とする。基板のオフ方向が異なる試料で、成膜速度と組成を求め、キャリア移動度やキャリア密度などの電気的特性を比較する。

実験 / Experimental

オフ角は2度で、オフ方向の異なる3種類のGaAs(001)微傾斜基板上にInGaAsNをCBE法で1時間成膜し、成長速度と組成を評価する。成膜試料の膜厚を測定するため、アルファステップを使用する。膜の組成は、X線回折により求めた格子定数と、分光光度計により求めたバンドギャップ値から算出する。電気的特性は、ホール効果測定によりキャリア移動度とキャリア密度の値を求めた。

結果と考察 / Results and Discussion

GaAs(001)微傾斜基板のオフ方向がそれぞれ[100], [110], [-110]方向の基板(それぞれAB, A, B基板と呼ぶ)に成膜した試料の膜厚は、0.9μm (AB基板)、1.4μm (A基板)、2.0μm (B基板)であった。基板のオフ方向により、成膜速度に大きな差があることが分かった。膜の組成をInxGa1-xAs1-yNyで表すとき、各試料の組成は、 x= 0.033, y=0.013 (AB基板)、x=0.032, y=0.013 (A基板)、x=0.032, y=0.014 (B基板)であり、組成にほとんど差はなかった。ホール効果測定から、これらの試料はいずれもp型であり、室温のキャリア移動度μとキャリア密度pは、それぞれ μ= 28cm2/Vs, p=1.6×1017cm-3 (AB基板)、μ=16cm2/Vs, p=6.6×1016cm-3 (A基板)、  μ=13cm2/Vs, p=6.2×1016cm-3 (B基板)であった(Fig. 1)。AB基板において、キャリア密度が高いにもかかわらず、最も高い移動度が得られており、微傾斜基板での表面ステップでのN原子の取り込み方の違いが、電気的特性に大きな影響を与えていることが示唆される。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 各試料のキャリア濃度と移動度


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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