利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23KU1019

利用課題名 / Title

人工ヘムペプチド酵素の化学的構造改変によるオキシゲナーゼ機能付与

利用した実施機関 / Support Institute

九州大学 / Kyushu Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

上城 良平

所属名 / Affiliation

九州大学工学部物質科学工学科応用化学部門機能コース

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

増子 隆博

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

KU-506:液体クロマトグラフィー・分子構造分析装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

シトクロムP450(CYP)はヘムタンパク質の一種で、オキシゲナーゼ反応を触媒して肝臓の解毒作用を担う重要なタンパク質である。ペルオキシダーゼと同様に、ヘムが酵素機能を担っているが、ヘム鉄の軸配位アミノ酸がヒスチジンからシステインに変わるだけで全く異なる触媒反応が発現しており興味深い。当研究室では天然のヘムペプチドであるマイクロペルオキシダーゼの化学合成に成功している。ここでは、ペルオキシダーゼではヘム鉄にヒスチジンが軸配位しているのに対し、CYPでは、システインに置き換わっていることに着目し、ペルオキシダーゼのアミノ酸配列をシステインに改変することで、CYP類似人工タンパク質の開発を試みた。

実験 / Experimental

目的のペプチド酵素は、Fmoc固相合成法に続いて光クリック反応によるヘミンを再構成することで得た。アミノ酸の配列は、HHHHHHVQKCAQCCTVEで、C10とC13にヘミンが結合し、C14がヘムに軸配位した構造と推定した。修飾電極の調製は、清浄な金ディスク電極をチオール化ニトリロ三酢酸(S-NTA)で処理し、電極表面に自己組織化単分子膜を形成させたのち、Ni(Ⅱ)イオンによる架橋反応を利用してペプチド酵素を固定化することで行った。サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を中心に電極の電気化学的性質を調べた。次に、CYPの基質であるイブプロフェンの共存下でCV測定し、CYPの酵素反応生成物の有無を、試料溶液をARIM機器であるmicrOTOF-QIII(Bruker)により分析した。

結果と考察 / Results and Discussion

修飾電極のCV測定において、S-NTA修飾電極では容量性電流しか観察されなかったのに対し、ペプチド酵素修飾後には、-0.4 V付近に明瞭な還元ピークを示した。文献を種々調査し検討した結果、観察されたファラデー電流はヘム鉄(Fe3+)の還元反応に対応していると考えられた。しかし、掃引を繰り返すとピーク電流値が低下してしまい、詳しい検討ができなかった。この原因として、結合の安定性が不十分のため時間とともに脱離してしまうことや、ヘムペプチド酵素が不活性化してしまうことが考えられたが、原因の究明には至っていない。一方、基質共存下でもCV測定し、還元反応によって生成したヘム鉄(Fe2+)による触媒的水酸基発生反応を調べた。しかし、試料溶液のESI-MS分析では、対応する化合物の生成は確認できなかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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