【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NR0058
利用課題名 / Title
低加速電圧走査電子顕微鏡(SEM)-カソードルミネッセンス(CL)による化合物半導体の分析
利用した実施機関 / Support Institute
奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
カソードルミネッセンス、走査型電子顕微鏡、化合物半導体,電子顕微鏡/ Electronic microscope,フォトニクスデバイス/ Nanophotonics device,光デバイス/ Optical Device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
朝比奈 俊輔
所属名 / Affiliation
日本電子株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
バンドギャップの大きな化合物半導体であるGaNやSiCウェハーはパワー半導体デバイスを作製するためのキーパーツとなっている。しかし、製品製造レベルで転位欠陥のない結晶合成は難しく、現在も研究が進められている。とりわけ、パワー半導体デバイス用の高品質な転位欠陥が少ないGaNやSiCウェハーの合成は急務であり、その欠陥を解析するための手法についても検討されている。一般にGaNやSiCなどの化合物半導体にある表面の転位欠陥を解析する手法としてフォトルミネッセンス(PL)法による解析がある。しかし、PL法の空間分解能は数100 nm程度であり、ナノレベルで発生した化合物半導体の微小な転位欠陥を把握することは困難である。そこで、本測定ではナノレベルの詳細な転位欠陥解析手法として低加速電圧走査電子顕微鏡(SEM)-カソードルミネッセンス(CL)法による化合物半導体の転位欠陥解析を検討した結果を報告するためのデータ取得を行った。
実験 / Experimental
装置はFE-SEM JSM-IT800<SHL> (NR-201)にMonarc Pro CL (Gatan製) (NR-201)を使用した。JSM-IT800<SHL>は低加速電圧で大きな照射電流が取得できるショットキー型電子銃を搭載した装置である。また、CL検出効率が高いMonarc Pro CLを組み合わせて測定を行った。試料はパワーデバイスに用いられるGaN基板とSiC基板をもちいた。本測定ではSEMの条件を低加速電圧0.5kVから高加速電圧10kVに可変させ分析を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
Fig.1にGaNウェハーにおけるSEM-CLの測定結果を示す。0.5 kV CL像、 b) 1 kV CL像 c) 3.0 kV CL像、 d) 5.0 kV CL像、 e) 10.0 kV CL像である。ここでGaNにおける10.0 kVでの一次電子線の潜り込み深さは1 um程度である。また、5.0 kVでは300 nm程度、3.0 kVでは 約100 nm、1 kV は 約20 nm、0.5 kVは約8 nmと算出できる。算出にはモンテカルロシミュレーションソフト Electron Flight Simulator Ver.3.1-LV Small World LCC製を用いた。加速電圧を変えながら取得した像を比較した結果、すべてのCL像で貫通転位由来と考えられる黒点が観察された。しかし、赤い丸で示した部分に着目するとFig.1 e) の加速電圧 10 kVでは、隣接する黒点の重なりが顕著に観察されており、複数(ここでは3つの貫通転位)の貫通転位コントラストが重なることで大きさが1 um以上の点に見える。一方で、5 kV以下の条件では黒点の重なりが抑制され、100 nm以下の径の黒点が明瞭になった。これは一次電子線の潜り込み深さに依存したCLの脱出深さの違いによるものと考えられる。このように加速電圧を低加速電圧にすることで小さな転位欠陥(黒点)を把握することができる。特に表面から数nmの情報深さとなる加速電圧 0.5 kVでも貫通転位コントラストが確認できることから本測定で用いたGaN基板の貫通転位は試料表面にも達していることが示唆される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 CL images at different accelerating voltages
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 中島 雄平、淺野 奈津子、大塚 岳志、上條 栞、伊木田 木の実、窪田 良之、岡野 康之、川畑 正伸、朝比奈 俊輔“低加速電圧走査電子顕微鏡(SEM)-カソードルミネッセンス(CL)による化合物半導体の分析”セラミックス学会 第43回 ナノテスティングシンポジウム, 令和5年11月7日.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件